今までの質問と答え
小惑星が地球に衝突するって話が出てたけど、本当に衝突しちゃうことってあるのですか?

2003.1 T. 15歳・男・愛知

そう!将来確実に衝突するよ。しかしそれは珍しいことでなく、これまでにも地球には何度も小惑星や彗星が衝突していたんだ。実は地球自体も46億年前、とってもたくさんの小さな天体が互いにぶつかって合体しながら生まれたんだ。その後も彗星や小惑星は地球に衝突し続けて、あるときは生命の材料である有機物や水を地球にもたらし、またあるときは大きな衝突によって急な環境変化をもたらして、そのときに生きていた生物種をたくさん絶滅させたりしたんだよ。

6500万年前にも直径10kmの小惑星が、現在のメキシコのユカタン半島に衝突して、恐竜を含む当時の生物種の6割以上を短期間に絶滅させたという説が有力なんだよ。しかしそのお陰で、哺乳類が恐竜に代わって繁栄し、やがて僕達人間が誕生できたんだけどね。このように彗星や小惑星の地球衝突は、地球やその生命の起源と興亡の両方に、深く関わっているんだ。

いまでも、地球は宇宙から物質を受け取っているんだ。大気に突入しても溶け切らずに地表に達する岩石「隕石(いんせき)」は小惑星の破片、しし座流星群のように大気との摩擦によってチリ粒が発する一条の光「流れ星」の多くは彗星のかけらが正体だよ。それらの合計は一年間に4トントラック1万台分もの量になる。しかし、その99%以上を占めているのは、大きさ1mmにも満たない「宇宙塵(うちゅうじん)」なんだよ。まさにチリも積もれば地球になるかな?

このように、地球にぶつかる宇宙物質は小さくなるほどねずみ算的に数が増えるんだよ。「小惑星が地球に衝突する」というときは、どのくらいの大きさ(大きさが分かれば衝突頻度が分かるからね)について話しているのかが大切になるね。宇宙塵なら常に降っていて、空気と一緒にみんなの肩にも降り積もっているから、特に怖がる必要はないかな。反対に、恐竜を滅ぼしたくらい大きな小惑星は1億年に1度の割合でしか地球に衝突しないし、木星から地球までの間にあるものはほぼ全て発見されているんだ。もちろん計算できる範囲の未来において、それらが地球に衝突する可能性はまったくないんだよ。

一番やっかいなのは、地上の望遠鏡では見つけられないくらい小さい(つまり地球への衝突頻度も高い)が、いったん地球にぶつかると大都市を破壊するくらいの威力を持った小惑星や彗星。これは大きさ数100mから100m程度の天体で、いま世界中の研究者が、そんなサイズの小惑星で地球に接近するものを、片端から発見しようと、頑張っているんだよ。

また同じ大きさでも雪合戦の雪玉と石ころでは、ぶつかったときのダメージが大きく違うんだ。だから小惑星や彗星を直接たずねて、その性質や材料を詳しく調べることがとても大切になる。宇宙科学研究所が2003年5月に打ち上げる小惑星探査機MUSES-Cは、まさに地球と交差する軌道を持つ、大きさ数100mの小惑星の一つを訪問して、科学観測をしつつ、表面のかけらを地球に持ち帰ってくる。そこでの新発見は、太陽系の生い立ちについての謎をたくさん解いてくれるだけでなく、地球への小天体衝突の問題を考える上でも、貴重なデータを僕達にもたらしてくれるだろうね。とっても期待したいところだね!



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