まずはブラックホールの蒸発現象について、現在の考えを説明しようね。ちょっと難しいよ。
ブラックホールは重力はがとても強くて、光さえも逃げることはできないんだ。この強い重力は、ブラックホールの周りの空間にエネルギーをもたらす。すると、そのエネルギーを燃料にして、粒子と反粒子のペアが生まれたり、消えたりし始める。粒子が消える瞬間、それは逆方向に走る2つの光に生まれかわる。そのうちの1つは、ブラックホールに再び吸い込まれてゆくが、もう1つはブラックホールと反対側に出てゆくから、何とか逃げ出して来ることができる。したがって、ブラックホールは常に少しずつ(ほとんど見えないくらい少しずつ)光を放射しているのだ。
ところで、アインシュタインが発見した重要な法則に、「エネルギーは質量に変えられる」という発見がある(有名な「E=mc^2」の式だよ)。したがって、ブラックホールから光が逃げ出すことは、ブラックホールが軽くなってゆくことを意味している。計算によれば、軽いブラックホールほど、たくさんの光を放射する。したがって、ブラックホールは最後には、大爆発をして消えてしまうんだ。
ところで、「ブラックホールの蒸発」というのは、実はまだだれも見たことがない。つまり、あくまで予測にすぎないのだよ。いつかすごい望遠鏡が完成して、「ブラックホールの蒸発」を確認できる日が来るかも知れない。あるいは将来、だれか天才理論家が現れて、「ブラックホールの蒸発なんてない」、と言い出すかも知れない。どうなるか、たのしみだね!
次にブラックホールが地球のすぐ近くにあったらどうなるか、それはブラックホールの大きさと距離によるんだ。例えば、月を直径 0.1mmまで潰してしまえば、ブラックホールになる。この場合は、ちょっとだけ夜空が寂しくなるけど、潮の満ち引きもなくならないし、地球に全く影響はないんだよ。
ところが、月くらいの距離に太陽くらいの質量を持つブラックホールが現れたら、大変なことになると思うよ。このブラックホールは直径が
3 km くらいで、ほとんど見えないだろうけど、その強力な重力で、地球は卵が割れるように粉々になってしまうだろう。
このブラックホールが、太陽系の中、例えば木星くらいの距離に現れても、地球の滅亡は確実なんだ。地球は太陽を中心に回っているのだけど、このブラックホールによって、地球の軌道は大きく乱れてしまい、宇宙の彼方に弾き飛ばされてしまったり、太陽にぶつかってしまう場合もあるだろう。
ではこのブラックホールが、太陽から1光年(光の速度で1年かかる距離)にあったとしたら何が起こるだろうか?この場合は、地球に影響は全くない。なにしろ太陽のお隣の星と同じくらいはなれているからね。さあ、これで謎はすこしは解けたかな?
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