今までの質問と答え
月の引力がどう影響して潮に満干があるのですか。引き潮の時の海はどうなっているのですか?(湖にはないと思うんですが、どうしてですか?)

2000.8 H.Y. 12歳・男・横浜市

これは字で説明するのは少し難しい質問だね。すこし長くなるのですが、辛抱して読んでください。高校の物理学を習ったあとでは良く分かるようになると思うよ。

月の引力は地球上(地球内部も)の全ての物質に働いている。そして月に近い物質ほど大きな引力を受けている。一方、地球は「月+地球」の重心の周りを回転している(もちろんこのほかに太陽の引力によって、地球は太陽の周りを回っているし、地球そのものが自転している。これらの運動を差し引いて月の引力だけを考えると、地球の運動は「月+地球」の重心の周りを回っていると考えてもいいね)。
この回転のために遠心力が働く。地球の中心では月の引力と遠心力が等しく、釣り合っているが、月に向いた側では(月により近いので)引力が遠心力(この遠心力は地球の場所で変わらない;ここの所の理解が少し難しいだろうね)より大きな力になって、その点の物質を月の方向に引っ張っていることになる。一方、月の方向と反対側の地球上の物質は、遠心力が引力よりも大きく、そこでは物質が月と反対側に引っ張られている。このようにして地球上の全ての物質は、地球を平らにしようとする力を受けていることになるんだよ。
変形しやすい海水は特にこの力(これを潮汐力「ちょうせきりょく」といいます)に反応して、潮の満ち引きが起こることになる。湖でも同様の事が起こっているんだけど、ふつう湖が小さいためにこの変化が少なくて気がつかないだけなんだ。精密な観測をすればやはり湖も潮汐を起こしているのが分かるよ。また驚くかもしれないけどね、硬い岩石の部分も潮汐力によって変形しているんだよ。これを地球潮汐と言っている。およそ20cm程度地盤が海水の潮汐と同じようにふくらんだり、縮んだりしているんだけど、これも地盤全体が変化しているために僕たちの目には止まらないんだ。
潮の満ち引きは、月の引力だけではなく、太陽の引力によっても起こる。説明は上の文章中の月を太陽と置き換えて読んでくれればうれしいね。潮汐力としては月の引力の方が大きいので、潮の満ち引きが月の動きと関係していると思いがちだけど、大潮、小潮などの潮汐の変化があるのは月と太陽の潮汐力が重なるときと、うち消すときの違いによって生まれる現象なんだよ。



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