平成15年度第2次観測ロケット実験概要

1.概要

 平成15年度第2次観測ロケット実験においてS-310-33号機による観測実験を 行う計画で、実験目的・ロケットの概要は以下のとおりです。

ロケット到達高度水平距離全長全重量搭載機器重量実験目的
S-310-33140 km290km7.4m0.7t50.1kg電離層下部に見られる
大気発光の縞々構造の究極的解明


2.実験実施責任者

 独立行政法人
 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部長 鶴田 浩一郎
 (神奈川県相模原市由野台3-1-1 TEL(042)751-3911(代))


3.実験主任

 独立行政法人
 宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部 教授 加藤 學


4.実験場所

 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 内之浦宇宙空間観測所
 (鹿児島県肝属郡内之浦町南方 TEL(0994)67-2211(代))


5.実験期間

 平成16年1月14日(水)〜2月28日(土)
 ロケット実験の実施予定は次の日時とします

ロケット実験予定日実験時間帯延期する場合の期間
S-310-331月14日(水)21時00分21時00分〜06時00分1月15日〜2月28日


6.実験観測の内容

●S-310-33号機(1月14日(水)21時00分 打上げ予定)
[電離層下部に見られる大気発光の縞々構造の究極的解明]

1.研究の目的
 地上からの高度85kmから100kmの電離圏下部と呼ばれる領域では薄い大気が 化学反応によって発光しているが、ここ数年の観測により発光層が縞々構造をもつこ とがわかってきた。この縞々構造に関しては、大気波動と呼ばれる希薄な大気中を伝 わる波が生成に関連しているという推測がなされている。本ロケット実験は、この大 気光縞々構造の生成メカニズムを解明することを目的としている。
 本ロケット実験は大気光縞々構造観測キャンペーン(WAVE2004)の中核を なすものである。このキャンペーンではロケットに搭載した観測機器により大気光発 光層の垂直情報を、地上の3ヶ所に設置した全天カメラにより大気光縞々構造を撮像 し水平情報を得て、これらのデータを総合的に解釈することによって大気光波動現象 の全体像に迫ることを目指している。

2.実験方法
 今回の大気光縞々構造観測キャンペーンにおいては次の項目の測定を行う。
 1) ロケット搭載観測機器による大気光パラメータ、電子密度および大気の風の鉛 直分布
 2) 通総研山川観測所でのレーダ観測による大気の風の空間分布
 3) 地上3点(KSC、山川、佐多)における大気光全天撮像による大気光波状構 造パラメータ
  (伝搬方向、波長、振幅)

また、京都大学の信楽にある施設でもMUレーダにより観測を行なう。

観測ロケットS−310−33号機に搭載する観測機器は以下の通りである。

搭載機器名担 当
酸素原子測定器 (共鳴線ランプ法)東京大学
大気光測定器 (4連フィルタ放射計)東京大学
電子温度密度測定器(標準型)宇宙航空研究開発機構
風測定器 (チャフ法)宇宙航空研究開発機構
星撮像姿勢計東京大学
中波帯電波受信機富山県立大学


また、ロケットの打上げと同時期に地上では以下の観測を行なう。

                                                                                                                                                  
場所観測項目担当
内之浦宇宙空間観測所大気光撮像通信総合研究所
OH回転温度測定立教大学
CRL山川観測所大気光撮像通信総合研究所
大気風速通信総合研究所
Na密度プロファイル都立大、九州有明高専
京都大学MUレーダ(信楽)大気風速、他京都大学
佐多岬大気光撮像名古屋大学
太陽地球環境研究所