研究領域マップ

地上から、大気圏、ジオスペース、そして地球の重力を逃れた惑星間空間。宇宙科学研究所で行われている研究の一部をグラフィックスでご紹介します。

大気球
観測ロケット
打上げ用ロケット
国際宇宙ステーション
ジオスペース
天文
太陽
深宇宙

Credit
ISS: ESA/NASA; HINODE: NAOJ/JAXA; Sun: NAOJ/JAXA; IRAS F11119+3257: ESA/ATG medialab; BD+30-3639: NASA/STScI/Univ. MD/J.P.Harrington; Kepler's Supernova Remnant: NASA, ESA, R. Sankrit and W. Blair (Johns Hopkins University); Moon: NAOJ; Mercury: NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington; Mars: NASA/JPL-Caltech/USGS; Jupiter: NASA/JPL/Space Science Institute

水星
金星
火星
木星
Itokawa
Ryugu

大気球

科学観測用大気球は、飛行機より高く、人工衛星よりも低い高度に長時間にわたり滞在できる唯一の飛翔体として、宇宙や地球の観測に用いられています。新しい輸送、探査技術の工学実験に使われる他、宇宙線物理学、赤外線天文学、高エネルギー宇宙物理学、超高層大気物理学、宇宙生物学など様々な分野での科学観測に利用されています。

観測ロケット

ロケット自身が宇宙空間を飛びながら、落下するまでの間に観測や実験を行います。宇宙科学研究所の観測ロケットは天体物理学の観測、上層大気の研究、宇宙プラズマ物理学等に貢献してきました。また、姿勢制御システム、再突入技術、回収技術、航法技術等、新しい飛翔体システムを開発実験にも用いられています。そのほか、材料科学やライフ・サイエンスのための微小重力実験の分野でも、観測ロケットが使われています。観測ロケットを使った実験では、計画立案から実験実施まで迅速な対応が可能であり、短期間で実験成果を得ることができるため、将来の人工衛星や惑星探査機などに搭載を予定している新しい観測装置や技術要素の機能や性能の確認試験としても優れた機動性を発揮しています。

打上げ用ロケット

現在、日本で運用中・開発中の打上げ用ロケットは、H3ロケット、イプシロンロケット、H-IIAロケットです。イプシロンロケットは、ペンシルロケットから続く日本の固体燃料ロケット技術を発展させ、高性能と低コストの両立を目指す新時代の固体ロケットです。一方、主力大型ロケットとして日本で用いられているのはH-IIAロケットです。多様な人工衛星・探査機の打ち上げを、高い信頼性で行うことができます。

国際宇宙ステーション

地上から約400km上空を飛行する国際宇宙ステーション(ISS)は、微小重力、宇宙放射線、豊富な太陽エネルギーなど、地上とは全く異なる特殊な環境です。ISSに「きぼう」日本実験棟を取り付け、ISSに取り付けられた日本実験棟「きぼう」の利用を2008年8月に開始して以来、宇宙環境を活かした様々な実験が行われています。

ジオスペース

ジオスペースは、地球周辺の宇宙空間のことです。ここは、太陽活動の影響を受けダイナミックに変動する空間です。通信衛星、気象観測衛星などの実用衛星は、ジオスペースで運用されています。地磁気の乱れ、磁気嵐や地球上で観測されるオーロラ現象は、太陽活動がジオスペースに影響を及ぼし、発生する現象です。

天文

大気に吸収されて地上では観測できない電磁波(例えばX線や紫外線、赤外線など)の観測は宇宙空間で行わなければなりません。また、大気のゆらぎを受けない宇宙空間では非常にシャープな画像を得ることができます。このような利点を活かし、様々な科学衛星が宇宙空間で活躍しています。

月は私たちに最も身近な存在であり、これまでに最も観測が行われた天体です。これまでの探査計画で多くの月に関する知識を得ましたが、月の起源と進化に関する根元的な問題は依然として深い謎のままです。「月」そのものに対する興味に加え、宇宙工学の研究では、重力天体として周回軌道への投入技術や軌道姿勢制御技術、着陸技術の実証にも用いられます。

深宇宙

「深宇宙」の定義はあいまいです。世界電気通信連合の世界無線規則では「約200万km以遠」を深宇宙と定義しています。この定義の場合、月は深宇宙に含まれません。ですから、大まかには地球周辺の宇宙空間を離れると深宇宙ということになります。現時点では、深宇宙探査とは、地球-月より遠くの惑星間空間の探査と同じ意味になります。一方、最近の天文学では太陽系よりは遙か彼方、場合によっては数十億光年以上の遠方宇宙を「深宇宙」と呼んでいます。