二物体間空力干渉
研究申込者
中村 佳朗(名古屋大学)
研究要旨
有人による惑星探査ミッションを行うためには,安全に惑星の地表に着陸出来る宇宙船の開発が必要不可欠である.宇宙船を安全に着陸させるため,安全で信頼性の高い減速システムが重要となる.火星のような大気のある惑星では,大気を利用した減速方法が有効であり,その一つにパラシュートがある.火星突入の際は,超音速飛行中にパラシュートを展開させるという要求があり,超音速流れ場でのパラシュートの展開,カプセルの減速システムの開発が重要な課題である.
本研究では,M∞=2.0の気流中でカプセルの後流とキャノピー前方の衝撃波による空力干渉流れ場を,流れ場の可視化及び,センサーとPSPによる圧力分布計測を行い,解析した.
カプセルとキャノピーの距離がh/D=0.58(D:キャノピーの直径)の場合において,模型周りに発生する衝撃波が大きく振動する結果が得られた.
第1図にシャッター速度0.1[msec]とした高速度カメラ撮影によるシャドウグラフ可視化結果を示す.衝撃波の振動周期は1.1[msec]であった.カプセルの上流側で発生するBow Shockがカプセルから最も離れる時刻を0.0[msec]とした.カプセルの上流側で発生するBow Shockがカプセルに近づくにつれて,カプセル底面の縁から発生するShear Layerが発達する.ほぼ同時刻において,キャノピーの上流側でBow Shockが発生し,発達したShear Layerと強い干渉を起こす.しかし,その直後にカプセルの後流が乱され,Shear Layerが消滅する.その影響で,2つのBow Shockが干渉しながら上流に移動する.また,後流の乱れはBow Shockと共に上流に移動し,カプセルの底面にまで達する.この結果,カプセル側面の圧力が増加し,キャノピー内面の圧力が減少するため,カプセルとキャノピーの抵抗値はそれぞれ単体での抵抗値よりも減少した.

Key words
Supersonic flow, Parachute, Aerodynamic interaction, Wake interaction
2010年度の研究成果
- 香山寛人,石橋孝介,田中潤治,Victor Costa,薛暁鵬,中村佳朗,超音速流中で拘束されたパラシュート、 カプセル間の後流・衝撃波干渉に関する研究,平成22年度宇宙航行の力学シンポジウム,ISAS,2010
利用期間
2010年 5月24日〜2010年 6月 4日