「柔軟エアロシェルを有する高速飛翔体に関する実験的研究」

注)下記の2テーマをまとめて報告する.
*フレア型柔軟エアロシェルを有する飛翔体の動的安定性に関する研究
*インフレータブル構造体を有する高速飛翔体に関する研究

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研究申込者

安部 隆士 (ISAS/JAXA)

研究要旨

 次世代の大気突入システムとして柔軟構造エアロシェルが注目されている.我々のグル ープでは,特に,インフレータブルトーラスで支持された薄膜フレア型柔軟エアロシェル について研究開発を進めており,平成23 年度には,観測ロケットを利用した大気圏突入実 証試験を計画している.図1は実験シークエンスの概略図である.本試験の実施にむけて, 風洞試験により事前に実験機の空力特性を把握しておくことは,実験時の飛翔軌道予測の ためにも,また,実験後に,風洞試験結果と実飛行環境データを比較するためにも重要で ある.そこで,本研究では,柔軟エアロシェルを有する模型の空力特性を正確に把握する ために,凹面に変形したエアロシェルを模擬した剛体模型の空力特性を取得し,柔軟エア ロシェル模型の結果と比較し,その結果を評価した.剛体模型は,3種類の形状のエアロ シェルに関して,マッハ数0.3〜4.0 の領域において,マッハ数と抵抗係数の関係を得た. その結果マッハ数0.3〜0.5 の領域以外は,今回用いた模型の間では,エアロシェルの形状 に対して抵抗係数の変化量は小さいことが確認された.ただし,マッハ数0.5 以下の領域で は,エアロシェルの形状が抵抗係数に大きな影響を与えることがわかったので,今後詳細 な検討が必要である.また,限られた実験条件であるが,柔軟エアロシェル模型との比較 も行い,凹面形状エアロシェル剛体模型により,柔軟エアロシェルの特性を予測できる可 能性を示唆するデータが得られている.今後は,さらにデータを蓄積し,観測ロケット実 験にむけて正確なデータベースを作成していく予定である.


図1:観測ロケットによる大気圏突入実証試験の実験シークエンス概略図


  
図2:本試験で用いた凹面に変形したエアロシェルを模擬した剛体模型(左)と
超音速風洞試験に耐えうるようエアロシェル部を強化した柔軟エアロシェル模型(右)



図3:超音速領域における凹面形状エアロシェル剛体模型と
柔軟エアロシェル模型のマッ ハ数と抵抗係数の関係の比較



Key words

柔構造エアロシェル、再突入、流体構造連成



2010年度の研究成果



利用期間

2010年5月17日〜5月21日
2010年10月4日〜10月8日

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