ソニックブーム低減用超音速複葉翼の流れ特性と空力特性

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研究申込者

亀田 正治 (東京農工大学)

研究要旨

 超音速飛行時のソニックブームの低減技術として,1930年代にAdolf Busemannによって提唱された超音速複葉翼理論を応用した機体コンセプトが近年注目されている.これまでに数値流体力学(Computational Fluid Dynamics,CFD)計算を駆使し,2次元及び3次元形状,胴体形状,逆問題設計などの研究が進められてきた.従来のCFD結果を実験的に実証し,将来的に超音速複葉翼機の概念設計に資する基礎的な流れ特性及び空力特性を捉えることが大きな目標である.
 本研究では,テーパ型超音速複葉翼の始動特性および翼端板による始動特性への影響調べるために感圧塗料(Pressure-Sensitive Paint,PSP)を用いて翼表面圧力分布を計測した.用いた実験模型の概観を図1に示す.また,模型翼部分の拡大図を図2に,翼端板取り付け時の形状を図3に示す.翼のテーパ比は0.4,アスペクト比は4である.図3(a)は翼端板なし,(b)は翼端の前縁から50%までを閉じるもの(type-A),(c)は翼端全体を閉じるもの(type-B)である.
 翼端板なしの翼表面圧力分布よりM∞=1.7及び1.8では不始動であるが,M∞数の上昇に伴い翼根前縁から低圧領域が広がり,M∞=1.9で始動するということがわかった.翼端板なし,type-Aおよびtype-BのM∞=1.7と1.9をそれぞれ比較すると,M∞=1.7では3形状とも不始動であり圧力分布に大きな違いは見られなかったが,M∞=1.9では翼端板なしとtype-Aで始動,type-Bでは不始動となった.これは,翼端板により翼端からの流れ出しが妨げられたために始動が遅れたと考えられる.このように本研究を通して,テーパ翼の始動特性,翼端板が始動特性へ与える影響がわかった.





Key words

複葉翼,衝撃波干渉,ソニックブーム低減,PSP



2009年度の研究成果



利用期間

平成21年11月2日 〜 平成21年11月13日

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