TSTO の分離時における空力干渉に関する研究
研究申込者
麻生 茂 (九州大学)
研究要旨
TSTO(Two-Stage-To-Orbit)型宇宙往還機の超音速領域における分離では、母機と子機それぞれの機体先端から生じた衝撃波が干渉し合い、分離時に互いの姿勢を不安定にさせる。
我々は、この衝撃波干渉を機体の断面形状により低減する方法を提案している。
実験模型としてTSTO 型宇宙往還機を模擬したモデルの母機の胴体の断面には、四角、円そして三角形の異なる3つの形状を用いている。
本研究の目的は、3つのTSTO 型宇宙往還機モデルの流れ場、空気力の違いを風洞実験およびCFD解析から見いだすことである。
これまでの実験では3 つのモデルを用いて、超音速領域での分離を模擬するために
母機と子機の間の高さを変えて実験を行った。そして以下の結果が明らかとなった。
- 可視化実験結果から3 つのモデルおよび母機と子機の間の高さにより母機上面と子機下面の境界層剥離領域の大きさが異なることが明らかとなった。 そして、三角形モデルが最もその領域が小さいことが得られた。
- 母機の空気力測定では、3 つのモデルで垂直力の大きさが異なり、三角形モデルが最も受ける力が小さいこと、 そして母機と子機の間の高さが増すにつれ垂直力が増す結果が得られた。
2009 年度の実験は、「垂直力の増加」についてより詳しく調べるために、母機と子機の間の高さをさらに増加させる実験を計画していた。 しかし、超音速風洞不具合により、計測は円形モデル模型(図1)を用いた1 回の通風のみである。 さらに6 分力天秤の校正行列の不都合により空気力計測を行うことが出来なかった。よって、この1 回の通風で得られた可視化実験結果を報告する
- M = 4.0, 母機と子機の間の高さ : H = 17 mm の条件下で解像度の良い円形モデルのシュリーレン写真を取得した。 2008 年度と2009 年度のシュリーレン写真を図2, 3 に示す。2008 年度は、子機衝撃波の母機への入射と反射が確認されなかった。 しかし2009 年度ではその2 つが確認できた。

Key words
shock interaction, separation, supersonic, cross sectional configuration of a fuselage
2009年度の研究成果
利用期間
平成21年11月16日 〜 平成21年11月20日