高揚力装置を備えたウェーブライダーの空力試験

Return to List

研究申込者

藤田 和央 (ISAS/JAXA)

研究要旨

 「気球無重力実験機(BOV)」の一連の開発研究や飛翔実験により,気球で高々度まで浮揚させた飛翔体を落下させることによって超音速に至らせる飛行実験の可能性および成立性が示されつつある.
 スペースプレーン技術実証機WGでは,BOVの開発研究で得られた知見や経験を継承・発展させ,気球による高々度への上昇とロケットブースターを組み合わせる(いわゆるロックーン方式)ことで,マッハ5程度までの極超音速飛行実験が可能なシステムを開発研究し,そのシステムを利用して将来のスペースプレーンに関連する各種技術を実証することを計画している.
 検討中の実験シーケンスでは,抱き合わされた実験機とブースターは,気球分離後自由落下してマッハ2程度の速度に達した後,空気力(主として実験機の揚力)を利用して機体全体を引き起こし,さらにブースターによってマッハ5まで加速する.
 このような飛行を可能とするために,実験機の空力形状には,第一義的には高い揚抗比を確保することが求められる.そこで我々は,艤装の観点からも現実的なブレンデッドウィングボディの空力形状を想定し,さらに翼型を工夫することによってウェーブライダーの特徴を得て,高揚抗比を実現することを考えている.
 以上を背景として,ここに申請する研究課題では,ウェーブライダーの特徴を取り入れた翼型の基本的な特性を評価するために,風洞実験模型を製作しこれを供試した.



Key words

極超音速飛翔体,飛行実証



2009年度の研究成果

 本風洞実験では,風洞設備の不具合により,当初予定していた速度域である超音速域の空力特性を評価することがほとんどできなかったが,遷音速風洞を利用して,極超音速飛行を志向した空力形状の遷音速・亜音速域の特性の観点で実験を実施した.超音速域のデータを取得できなかったことは残念であったが,代わりに遷音速・亜音速域の特性データを取得できたことは有意義であった.試験結果の例として,下に極曲線を示す.


  1. 丸祐介,澤井秀次郎,後藤健,大山聖,峯杉賢治,徳留真一郎(ISAS/JAXA),小島孝之,藤田和央,田口秀之,青木卓哉(ARD/JAXA),永田晴紀(北大),坪井伸幸(九州工大),姫野武洋,土屋武司(東大),スペースプレーン技術実証機 ワーキング・グループ(SEED/WG),スペースプレーン技術の極超音速飛行実証構想,第10回宇宙科学シンポジウム,相模原


利用期間

平成 21 年 8 月 3 日 〜 平成 21 年 8 月 7 日

Return to List