二物体空力干渉
研究申込者
中村 佳朗 （ISAS/JAXA）
研究要旨
カプセル式の有人宇宙輸送システムでは，緊急脱出時にカプセルとロケットに働く空気力が原因となり再接触が発生する危険性がある．再接触は，特に打ち上げ中の動圧が高い，低高度において起こりやすい． 本研究では，カプセルとロケットをそれぞれ円錐と円柱で模擬した．そして，二物体間空力干渉を利用するアイデアとして，ロケット上端面を拡大するディスク，その縁にフェンスを取り付けた．超音速流（M∞=3.0）でのカプセル緊急分離時に対し，フェンスの空力干渉流れ場とカプセル底面圧力およびロケット上端面圧力に及ぼす影響を実験的に調べた． 第１図（a）より，投影面積の等しいカプセルとロケットの場合，二物体間空力干渉流れ場への影響がほとんど見られず，カプセル底面およびロケット上端面の圧力は上昇しない．第１図（ｂ）より，ディスクによってロケット上端面を大きくし，さらにフェンスを取り付けた場合，強い空力干渉が発生し，二物体間の圧力は上昇する．二物体間距離h/D=0.40ではCD=−0.59であり，カプセルに推力が発生する．
第１図 シュリーレン可視化結果
Key words
Supersonic flow Abort system, Aerodynamic interaction, Wake interaction, fence
2009年度の研究成果
- 小澤啓伺，松本宗一郎，香山寛人，田中潤治，森浩一，中村佳朗，二物体間超音速空力干渉を利用したカプセル緊急分離の促進について，第53回宇宙科学技術連合講演会，京都大学吉田南キャンパス，2009
- 香山寛人，小澤啓伺，松本宗一郎，田中潤治，森浩一，中村佳朗，後流・衝撃波干渉を利用した分離、変形に関する実験的研究について，平成21年度宇宙航行の力学シンポジウム，ISAS，2009
利用期間
2009年5月25日〜6月5日