複合サイクルエンジンの空力特性エジェクタモードにおける吸い込み特性について
研究者
谷 香一郎 (ISTA/JAXA)
苅田 丈士 (ISTA/JAXA)
本部内共同研究者
徳留 真一郎
研究目的
現在、角田センターではスクラムジェットエンジン技術とロケットエンジン技術を融合し
た新な単段式往還機体用エンジン、複合サイクルエンジンの研究を行なっている。本エンジ
ンの特徴は一つの流路内で複数のエンジンサイクルを実現するところにある。このため、ど
のサイクル(以下モードと称する)においても安定した流入気流を確保できるような空気取
り入れ口(以下インレット)が必要となる。
角田では2005 年度に、最初の複合サイクルエンジン燃焼モデルを作成する予定で研究を
進めているところであるが、これに先立ち、インレットを中心にエンジンの空力的な機能検
証を行なう必要がある。2004 年度は速度0 からマッハ8 飛行状態までの広範な範囲でイン
レット試験を行ない、性能特性の取得を目指している。遷音速風洞における今回の試験は、
エンジン全機形状にて空力試験を行ない、インレットデータはもとより、気流混合等のエン
ジン全体の性能を把握することを目標としている。また、2004 年2 月に行った試験で得られ
た複合エンジンのエジェクタモードにおける種々の空力的な問題点の改善を目指す。
複合エンジンインレットについては、2003 年から2004 年初頭にかけて行った遷音速、超
音速試験から、いくつかの空力的特徴を得ることができた。特に問題となったのはカウル設
置位置の最適化である。
1. 超音速において、カウルで覆われた部分(カウルダクト)の入り口/出口面積比がある
値以上になると始動が難しくなる。
2. 超音速において、カウル/ランプの相対角度が大きいと、剥離による不始動に陥る。
3. 超音速において、カウル衝撃波のランプ面への入射位置がランプ面だと、不始動にな
りやすい。
4. 亜音速、遷音速において、カウルダクトの入り口/出口面積比がチョーク条件を越えた
場合、カウル入り口周辺で高圧域ができる。
本試験では、上記四点を踏まえ、カウル位置、ランプ形態に改良を加えたインレットを備
えたエンジン全体形状モデルを用いて、亜音速/遷音速における空力特性の取得を行なう。
Key word
2004年度の研究成果
谷香一郎(ISTA/JAXA),苅田丈士(ISTA/JAXA),”複合サイクルエンジンの空力特性改良型エンジンによる性能改善について,”平成16年度高速気流総合実験設備報告書.
利用期間
平成17年1月24日〜1月28日