太陽フレア

「ようこう」が見た1991年11月15日のフレア


 太陽には黒点のあたりで、突然、輝きをまし、大量の高エネルギー粒子が、 惑星間空間にふりまかれる現象があります。 これが太陽大気中の最大の爆発、太陽フレアです。太陽 フレアは、黒点上空のコロナの磁場に蓄えられたエネルギーが、短時間のうちに解放 される現象であると理解されています。しかし、なぜ、短時間に急激な爆発が起こる のか、まだわかっていません。フレアの爆発過程の中で、 特に急激な現象が、フレ ア発生初期の時間帯に観測される「粒子加速」現象です。この時解放されるエネル ギーの大部分が粒子の加速に費やされ、大量の太陽宇宙線が数秒から数十秒で作り出 されます。光速度近くまで、加速された電子が密度の高い彩層に飛込むと硬X線が放 射されます。「ようこう」の硬X線望遠鏡ではこれを狙っています。

 図の右下に1991年11月15日に硬X線望遠鏡が観測したフレアを 示しておきます。青いのが、硬X線で見たフレア。白の等高線で示しているのは、 白色光フレアといって、加速された電子が、光球面まで達して光ったものです。 両者とも、二つ目玉になっているのが特徴です。 これは、フレアが、コロナ中の時期ループの中で生じ、硬X線で見 たフレアや白色光フレアが、ループの根元部分を見ているためだと言われています。 このフレアが太陽のどこで起こったか、その日の太陽全面像の中に示しておきます (図・左上)。フレアは、軟X線望遠鏡でも観測されています。軟X線望遠鏡では、 フレアの際に生じた高温プラズマの部分を見ています。ここでは、フレアが起こった あとによく見られるフレアループを示します。これは、 1992年2月21日に太陽の東縁で起きたフレア で、真横から見ているため、見事なカスプ状のループをしています。 このループの形は、フレアというものが、磁力線のつなぎかえが起こって エネルギーが解放されたことを見事に示すものです。

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