2009年7月22日皆既日食 ~「ひので」衛星から見た日食を即時公開~

ひので観測チーム


[2009年7月22日掲載]

「ひのでがとらえた日食」

解説:「ひので」から見た月の移動の様子:


予報計算:相馬充(国立天文台)

「ひので」は、高度680kmを北極から南方へ移動する途中、中国奥地~インド上空付近にて、日食帯を横切ります。「ひので」から見た部分日食は、月が太陽の南西から現われ、北東に向けて太陽面を横切っていきます。最大食分は73%です。「ひので」の移動速度は時速2万7千キロと非常に早いため、部分食の開始から終了がわずか約17分しかありません。

[2009年7月17日掲載]

イメージ画像(クリックで拡大)

2009年7月22日に「ひので」衛星が遭遇する日食のX線太陽画像・動画を、日食当日の午後に公開します。この日食は、日本時間2009年7月22日(水)午前に、中国~日本南部~太平洋で「皆既日食」として観測でき、また日本全国で部分的に太陽が月に隠される「部分日食」として観察できます。

「ひので」衛星は、午前10時(世界時では1時)ころに中国奥地~インド上空を飛翔している時に部分日食に遭遇します。その際、「ひので」に搭載されたX線望遠鏡(XRT)は、X線で太陽全面を連続的に撮影する予定です。太陽コロナを背景に、黒い月が通過していく様子がとらえられます。

「ひので」運用チームは、このX線画像のムービーを当日午後、観測データの準備が整い次第、本ページ上にて公開する予定です。

観測データ(テレメトリデータ)は、北極圏および南極にある複数の地上受信局にて順次受信され、インターネット経由で神奈川県相模原市にあるひので運用室に伝送されます。そこでデータ処理が施された後に公開されます。また、当日最短の時間で観測データを公開するために、搭載された記録レコーダの使用計画を綿密に立て、観測直後に最新の画像データを地上に送信できるようにします。

地球上空を周回する「ひので」から見た、太陽に対する月の移動の様子は、地上で見るのとは異なります。また、地上にて観測された可視光コロナをX線で観測したコロナと比べるのも、面白いかと思います。是非ご覧ください。

なお、「ひので」は、即日公開するX線観測を行った後に、中国~日本~太平洋と皆既日蝕帯が移動する時間には、複数の観測チーム(者)が地上で行う観測を支援する観測を実施します。太陽コロナの電子密度・温度の診断や極域プルームに注目した観測を行い、コロナ加熱や太陽風の研究に寄与する予定です。

過去の観測例


宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究本部
自然科学研究機構 国立天文台