ご挨拶

宇宙科学研究所が成功させた「はやぶさ」「はやぶさ2」探査で持ち帰られた小惑星イトカワ、小惑星リュウグウの試料は、太陽系の起源や進化に関する多くの初期成果を生み出しました。これらの試料は現在もキュレーション施設の清浄な環境下で適切に管理され、世界中の研究者に提供され、将来にわたり、宇宙科学を前進させる駆動力となり続けます。NASA から提供された小惑星 Bennu の試料も宇宙研キュレーション施設で保管され、研究活動に用いられています。さらには火星衛星フォボスの試料も MMX が持ち帰ることが予定され、今後も宇宙科学研究所キュレーション施設を通じて、様々な太陽系天体の試料が、地球上の研究者とつながっていくことと思います。世界の友人達は口を揃えて、宇宙研キュレーショングループは素晴らしいと言ってくれますが、その現状に甘えることなく、リターンサンプルの維持・管理・分配・研究といったキュレーション活動に関し、世界に向けた規範となることを期待し、その実現に向けて、本委員会は、地球外物質研究グループと協力していきたいと考えています。

キュレーション専門委員会委員長 橘 省吾