7月23日(木)・24日(金)開催予定!第26回宇宙科学シンポジウムをご紹介~宇宙科学シンポジウム企画チーム座談会~

集合写真

宇宙科学の将来について活発に議論する場として、2001年より毎年開催されている「宇宙科学シンポジウム」。昨年の第25回よりリニューアルを行い、全世代が楽しみつつ、次世代の宇宙科学を模索できるシンポジウムを目指して、新たな開催形式へ移行しました。今年は昨年と同様の形で、7月23日(木)の「ブース展・ポスター展」、7月24日(金)の「ユーザーズミーティング」の2日間の開催となります。

1日目のブース展・ポスター展では、研究者だけではなく、企業や学生などの様々な立場の方や、宇宙分野外を専門としている方も含めて、広く交流できる場を提供します。今年はミニ講演会を新たに開催し、ニーズとシーズの出会いを促すとともにコミュニティの更なるつながりを強化します。
2日目のユーザーズミーティングでは、宇宙科学の現状や将来展望を共有する場として、宇宙科学研究所 所長による現状報告や、宇宙理学委員会と宇宙工学委員会の活動報告が行われます。また、4つのハイライト講演を企画しており、これまでの宇宙科学の成果と併せて、今後の方向性を深く理解する機会を提供します。

本記事では、企画チームの皆さんへ宇宙科学シンポジウムの概要やポイント、開催に向けての思いについてお伺いしました!

鳥海 森

鳥海 森(宇宙科学研究所 太陽系科学研究系/准教授)
専門は太陽物理学、特に太陽フレアなどの磁気活動現象の研究。個性豊かな企画チームメンバを取りまとめる代表。企画チーム代表は吉田哲也研究総主幹のお話をきちんと受け止めつつうまく受け流せる人(笑)がよいとの昨年の企画チーム代表のご指名で、今年の企画チーム代表に。実践できているかは、本人的には非常に疑問とのこと。

Matsuda Frederick Takayuki

Matsuda Frederick Takayuki(宇宙科学研究所 宇宙物理学研究系/准教授)
専門は宇宙マイクロ波背景放射観測衛星の開発。ユーザーズミーティング担当。宇宙科学研究所からどのような報告をするか、コミュニティがどういった講演を聞きたいかを考慮し、講演のプログラムを企画。

榎本 雄太郎

榎本 雄太郎(宇宙科学研究所 宇宙物理学研究系/助教)
専門は重力波望遠鏡の研究開発。ブース・ポスター・ミニ講演担当。昨年は参加者側として、宇宙科学コミュニティにどのような方がいるのか、またその技術を理解する機会としてシンポジウムを非常に楽しめたため、今年は企画チームメンバとして盛り上げるべく企画を準備中。

N.Y.

N.Y.(宇宙科学研究所 科学推進部)
通常業務では総務を担当。企画チームでは広報やロジまわりを担当。普段の業務では研究者と話をする機会が少ないため、この機会に周りにいる研究者の話をもっと聞きたいと企画チームへ。本務と企画チームを繋ぐ役割として会場の手配やエリアセキュリティ関係の支援なども行っている。

N.Y.

松宮 久(宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系/助教)
専門は材料工学。懇親会担当。申請フォームの作成や名札の準備なども積極的に請け負う、縁の下の力持ち。昨年のシンポジウムで、普段は関わることが少なかった他分野の研究者のお話を聞けたことや、準備が文化祭のようで楽しかったため、今年も力になれればと企画チームを続投。

新たな開催形式となってから2回目の開催となります。今年はどういったテーマでの開催ですか?またテーマはどのように決まったのでしょうか?

宇宙科学シンポスライド

鳥海: 今年のテーマは、「10~20年後の宇宙科学をデザインする」です。
宇宙科学とは、宇宙をフィールドとして実現する理学や工学、もしくは宇宙に密接に結びついた理学・工学の研究を、科学的な興味を持って行うことだと考えています。昨今、科学の実現が難しい状況が続いている中で、研究者として、今後どのようなことがしたいのか今まで以上に明確に示していかなければならないと感じています。それを世の中に訴えかけ、お互いに理解することを考えたときの1つのタイムスパンとして、今回は期間を10~20年後と設定しました。宇宙科学に関連するプレイヤーは非常に多岐に渡るので、宇宙科学研究所やJAXAに所属する我々、学生、大学、さらに企業(メーカー)の方を巻き込む場や対面で交流できる場となるように現在企画中です。

榎本: ブース展・ポスター展は先にテーマが決まったと言うよりも、こんなものが見たい、こういった方に来て欲しいと企画チーム内で出し合った中で決まっていきました。宇宙科学シンポジウムが持つ強みや専門性と、興味を持つ人が集まって出会うという性質を考えたときに、10年後、20年後の強みとなる部分の種出しになったら面白いのではないかと。個人的には自分や企画チームの見たいものや知ってほしいこと、こういう面白い技術がある、こういう技術が欲しいといった思いを発端にすると、結果的にコミュニティ全体にとって面白いものになっていくだろうと考えています。

昨年と比べ、更にパワーアップした部分はどこですか。

鳥海: 昨年度、宇宙科学シンポジウム自体が大きく形を変えました*1。ユーザーズミーティングは、従来通り大きな会議場で行う講演形式のものですが、それに加えブース展・ポスター展が新たに加わりました。一般公募で募集するポスター展示とともに、実物の展示や実演をするブースも出展していただき、実物を見て・使って互いに交流する場となっています。
詳しくはそれぞれの担当の方から紹介いただきますが、ユーザーズミーティングを1日、ブース展・ポスター展を1日という昨年のフォーマット自体は継承しつつ、今年は新しくミニ講演会(ユーザーズミーティングのハイライト講演よりもっと身近な形の講演)などを企画し、直接対話できる規模感・距離感で、最新の成果などを皆さんと共有できる、より交流を加速させることを意識した作りにしています。また、昨年と比べ参加者への声かけの範囲を広げているのは、個人的には大きな部分です。できるだけ広い方に来ていただくことが、コアだと思っていて。例えば企画チームの中に、N.Y.さんのような一般職(いわゆる研究者でない方)に入ってもらうことも、非常に重要だと思っています。少しでも僕ら研究者が行っていることを見て、知っていただいて、同じ宇宙科学の一員の、自分事として感じていただければと思います。

N.Y.: 私は昨年宇宙科学研究所に配属されたばかりで、当初宇宙科学シンポジウムは「こんなものがあるんだ」という印象でした。宇宙科学研究所はJAXA全体から見て研究を主として期待されている組織であると認識しています。自分が所属する部門の中核的存在である研究者の方々のお話を聞くことで事務職の私たちも自部門の役割や目的を主体的に実感できると思います。

榎本: 企画会議の中でも「一般職や宇宙科学以外の方からの目線が見たいよね」といった意見がたくさん出ていたように思います。宇宙科学とは違うところの話を聞いてみたいとの声も多かったので、ブース展では、分野外の方のブースも設けています。ブース展のテーマの1つ「メタで見る宇宙科学」もそうですが、宇宙科学を外から見たときの目線が入っているのが今年の特徴だと思います。10~20年後となると、今は宇宙科学の真ん中ではない技術が入ってきたりして、宇宙科学自体をどのようにマネージしていくかといった視点が非常に重要になると思うので、今年のテーマに合わせた企画を考えています。

Matsuda: ユーザーズミーティングは、会場を宇宙科学研究所の大会議場から、国民生活センター*2へ移しました。今回は、より多くの方に参加して講演を聞いていただきたいため、よりキャパシティが大きい会場で開催します。また今回はより多く、様々な講演を聞いていただきたいと思い、各講演時間を前回より少しずつ短縮して、講演数を4つに増やしました。コミュニティの成果報告や今後の計画など、幅広く聞いていただければと思っています。一番最近で打ち上がったX線分光撮像衛星XRISMの成果や、はやぶさ2拡張ミッションの進捗(7月5日(日)にトリフネフライバイ予定)など、直近の話も聞いていただければと思うので、そういった講演を企画中です。

Matsuda氏

松宮: 今回の懇親会は、ポスターの一部を懇親会会場に持ってきて、それを見つつ歓談しながら、参加者同士で語り合っていただくものになっています。和気あいあいと話していると自由にイマジネーションも膨らむと思うので、皆さんが楽しめるものにしたいと思います。

榎本: 懇親会会場へポスターの一部を持っていく試みは、個人的にかなり実現したかったものでして。ポスターのような研究のネタがあると話が盛り上がると思うので、10年後、20年後を想像しながら話が膨らみ、つながりが生まれてくれたらとても嬉しいです。

鳥海: 皆さんに共感してもらえると思うのですが、学会などで大切なのは、発表もそうですが、実はコーヒーブレイクなどのオフラインの場ですよね。発表を見て、その後に直接ポスターの前やコーヒーブレイクの場で話をして、そこからつながりが生まれたことって、きっと皆さんあるのではないかと思います。通常のポスターセッションもそうですが、懇親会の場にポスターが準備されていて、それを目の前にして直接話し合うことで、より交流が加速するのかなと非常に期待しています。

今回のシンポジウムの見どころを教えてください!

Matsuda: ユーザーズミーティングの見どころは、民間ロケット企業のスペースワンによる、カイロスロケット関係の講演です。宇宙科学研究所からの発信だけではなく、我々も興味がある内容の講演をお願いしました。スペースワンからの視点で、今後カイロスが宇宙科学でどのように使えるか、使われて欲しいか、民間企業の方からの意見を聞くような講演を計画しています。一方向だけではなく、宇宙科学研究所、コミュニティ、そして民間企業が今後につながるように、そういった幅広い講演ネタを考えていますので、皆さんぜひ聞きに来ていただければと思います。

榎本: ブース展・ポスター展は、宇宙科学研究所の教育職ではない方々、例えばJAXAの研究開発部門や科学衛星運用・データ利用ユニット、宇宙科学プログラム室や科学推進部からも出展する予定となっています。JAXA全体を知る機会となり、次の宇宙科学につながればと思います。

N.Y.: 私もポスター展に出展予定です!企画チームの方々からお話を伺うことができたので、安心して出展しようと思うことができました。

松宮: 昨年度のポスター展では、理学側がニーズを、工学側が研究シーズを提供し、うまくマッチングさせる試みをしました。今年度も大きな枠組みは実は変わっておらず、今年度のブース展・ポスター展のテーマの1つ目は「10~20年後に何を観測したいか、どこを探査したいか」といった、より具体的なニーズを示してもらうようなもの、2つ目のテーマは、「10~20年後にウリになる技術は何か」とのことで研究シーズを提供していただくことになっています。ニーズを条件とともに提供していただくことによって、「この条件であればうちの技術が使えるな」と宇宙分野だけではない様々な分野の方がアピールできるよい場となると思います。

鳥海: ユーザーズミーティングのように広い場所ではどうしても話を聞くことがメインになってしまうので、もう少し形を物理的にも小さくして、話者の方と直接対話できるような、より小さな規模でできるようにしたものがミニ講演です。今年は太陽観測衛星「ひので(SOLAR-B)」が打上げから20周年ですので、講演テーマを1つ、私から提案させていただきました。開発当初や打上げ当初の話を聞けたらと思いますし、今回のテーマにもあるような、10-20年後の将来を見据えた趣旨の企画になっていますので、ひので(SOLAR-B)から現在開発中の高感度太陽紫外線分光観測衛星SOLAR-Cへどのように展開されていくのかといった対話ができたらいいなと思っています。

鳥海氏

N.Y.: 皆さんがお話しされたように、たくさんの見どころがありますので、このシンポジウムがただ講演を聞くだけではなく、活発な意見交換をしてお互いの認識を深め、さらなる交流の促進につながる場となればと思います。シンポジウムを日本語にすると「公開討論会」ですが、専門的なことで討論をするのは専門外の人からするとかなりハードルが高いと思います。そこで例えば、全然違う業種の方々が不安そうにしていたら、「これは分からないですよね。一緒に聞きに行きましょうよ」と誘ったりして、雰囲気一つで導線を動かせると思いますし、ポスターの配置や会場選択など細かい心配りはロジで解決できると思うので、そういった基盤の部分から、活発な意見交換が行われる場にできたらいいなと思います。

榎本: 新しいフォーマットとなった宇宙科学シンポジウムを研究者、宇宙科学の人々にとっての文化祭だと言う方もいますが、その交流的な雰囲気を担っているのがブース展・ポスター展・ミニ講演だと思っておりますので、面白い、よいものにして、来場者の方に楽しんでもらい、交流的な雰囲気を作って、今後の宇宙科学のつながりが新しく生まれていく場作りができれば嬉しいなと思っております。

最後に、来場者の方へメッセージをお願いします!

鳥海: 宇宙科学(シンポジウム)を楽しんでください!それに尽きますね。僕らが楽しくやっているところが伝わったら、きっとお客さんにも楽しんでもらえるかなと思います。それが巡り巡って新たな将来ミッションや今後の研究につながっていくと思うので、皆に楽しんでもらうことが一番大切だと思っています。ご参加、お待ちしております。

ありがとうございました!2026年7月23日(木)・24日(金)は、ぜひ宇宙科学シンポジウムへ足を運んで、技術やアイデアのつながりを体感してください!

※宇宙科学シンポジウムへの参加には事前申し込みが必要です。
参加登録はこちらから。7/9(木)まで登録受付中です!
※ブース展・ポスター展への参加は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。
Matsuda

用語解説

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