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観測装置の視野とオイラー角

衛星のオイラー角と、観測している視野の関係は大切である。ZYZのオイラー角を $(\phi, \theta, \psi)$としよう。 衛星の+Z軸が観測装置が見ている方向だから、赤経(R.A.)、赤緯(Dec.)は、

\begin{displaymath}
R.A. = \phi, Dec. =90^\circ - \theta
\end{displaymath} (51)

で与えられることがただちにわかるだろう。

第3オイラー角、$\psi$は、観測装置がターゲットの周りに回転する角、いわゆるロール角を与える。 慣習として、ロール角は、天の北から観測装置の+Y軸(DETY)へ、反時計周りに計った角を使う[*]。第3オイラー角とロール角(ROLL)の関係は、

\begin{displaymath}
Roll =90^\circ - \psi
\end{displaymath} (52)

で与えられる。

人工衛星による実際の観測においては、観測ターゲットの天球上での位置と季節(太陽の天球上での位置) に応じて、オイラー角を決定する必要がある[*]。具体的な例を見てみよう。NEPの赤経、赤緯は $(270^\circ.0,66.^\circ6$)であることは 良いだろう([*]頁の図参照)。 「すざく」衛星は、今までこの領域を二回観測している。その時期とオイラー角は以下の通りである。

2005-09-02 (272.80, 24.00, 159.07)

2006-02-10 (272.82, 23.98, 323.67)

式(51)より、これらのオイラー角が、NEP近辺を見ていることがわかる。 最初のZYの回転で、Y軸がほぼ春分点を、Z軸がほぼNEPを向いていることに注意。よって、 Y軸はほぼ黄道上にあり、第3オイラー角がその黄経に対応することがわかる。秋分の時に太陽の 黄経が$180^\circ$、春分の時に$0^\circ$であることを考えれば、9月2日の太陽の黄経は ほぼ$159^\circ$、2月10日の太陽の黄経がほぼ$324^\circ$であることがわかるだろう。



Ken EBISAWA
2008-01-30