英語で論文を書く時に最も迷うことになるのが動詞の使い方、端的には時制、助動詞、そして仮定 法でしょう。英語を読むのは読めても、自分で書く段になると迷うことが多く、時に「間違え」ま す。文法的には正当でも、意図したことを正確に伝えられないことがしばしば起こり、時には深刻 な誤解を生むことさえあります。そしてたちの悪いことに、文法チェッカーソフトや汎用AIでは検 出できないことが多いです。すべては筆者の意図もしくは事実と文脈次第であることが大半だから です。AIも含めてソフトは一般にファクトチェックまでは行いませんから。 時制、助動詞、仮定法は、学校英語では別々に習います。しかし実は互いに密接に関連しあってい るので、本来は一緒に学習するべきものかも知れません。本講演では、これら「動詞の使い方」を 俯瞰的に見直して整理することで、日本語母国語者がその使い分けになぜ迷うか、なぜ誤るかの点 に迫ります。そして実際の論文および査読者宛の手紙にありがちな例を用いて、実戦的なアドバイ スを提示します。 英国在住20年超、天文学の元研究者として自身かつて60本を超える査読論文を発表し、過去10年近 く英文校閲と翻訳とを生業とする講演者によるセミナーです。