これまでに発見された系外惑星の数は5000個にも及ぶ。発見された個々の惑星のスペクトルを観測 し、それを理論モデルと比較すれば、その惑星の大気の物理・化学的な特性(温度構造や化学組成 など)を明らかにすることができる。これらの惑星大気の物理・化学的特性を系統的に観測すれば、 大気の熱収支や化学反応、雲形成といった、背後にある大気の様々な物理・化学過程を総合的に解 明することができる。私はこれまで、雲生成や非平衡化学といった大気中の重要な化学過程を理論 モデルに組み込むことで、宇宙および地上望遠鏡で得られた系外惑星・褐色矮星のスペクトルの観 測結果を説明したり、個々の惑星の物理・化学的特性のより良い推定を可能にしたりする研究を行っ てきた。本講演では、これらの大気モデル構築の取り組みおよび実際の観測データとの比較から得 られた知見について紹介する。