X 線連星は、星質量ブラックホールや中性子星と通常の恒星との近接連星系であり、相手の星から コンパクト天体へのガス降着により、強い電磁波放射や高速のガス噴出現象を引き起こす。これま でに銀河系内に見つかっているX 線連星の多くはトランジェント天体であり、普段は X 線で非常 に暗いが、突然アウトバーストを引き起こし数桁以上もの増光を示す。その際、降着流は劇的な状 態遷移を引き起こし、相対論的ジェットや降着円盤に沿った噴出流(円盤風)も生じる。ブラック ホール X 線連星の降着円盤は主に X 線から可視光帯域の電磁波を放射し、ジェットは主に電波か ら可視光で輝く。また、円盤風は X 線や可視光などの青方偏移した吸収線として観測される。し たがって、X線連星の多様な活動性の背後にある物理の完全理解のためには、X 線で監視し増光を とらえ、増光中に多波長で観測を行うことが必須である。 全天 X 線監視装置 MAXI は、2-20 keV をカバーするかつてない感度の全天 X 線モニタとして、 2009 年の運用開始以来、数多くの X 線連星のアウトバーストを検出し、全世界に速報してきた。 我々は、それらの天体に対して増光中の多波長同時観測を実施してきた。本講演でその成果につい て紹介する。