これまで4000個以上の太陽系外惑星が発見されているが、その大半が主星近傍を周回する短周期惑 星系であり、軌道周期が長く質量が小さい惑星の分布はまだ理解が進んでいない。惑星形成の標準 理論では、主星から離れた領域で惑星形成が活発になると予測されており、 観測的にこの領域の 惑星分布を解明する事で理論に重要な示唆を与える事が期待される。重力マイクロレンズ法は、他 の手法では検出が難しい長周期の軽い惑星(地球質量以下)にまで検出感度のある唯一の手法である。 NASAが2026年に打ち上げ予定のRoman宇宙望遠鏡は銀河系中心方向の重力マイクロレンズサーベイ 観測を行い、長周期惑星を約1400個程度(うち、3地球質量以下200個)を発見し、既知の短周期惑星 分布と組み合わせる事で系外惑星分布を包括的に解明することが期待されている。本講演では、重 力マイクロレンズによる系外惑星探査の紹介とともに現在私が参画している地上近赤外線マイクロ レンズサーベイ望遠鏡PRIMEやRoman宇宙望遠鏡の紹介、また、重力マイクロレンズの高次効果を利 用する新たな系外惑星探査手法を提案したMiyazaki et al.(2021)の内容を講演する。