可視光位置天文観測によりブラックホール(BH)、中性子星(NS)、および白色矮星(WS)を区別する方 法を考案し、その判定精度を調べた。現在稼働中の可視光位置天文観測衛星「Gaia」は、7マイク ロ秒角というこれまでより2桁良い位置決定精度で星の位置を測定できる。この高精度位置天文観 測により、恒星、系外惑星、銀河力学など広範囲の分野で革新的な成果が期待されている。我々は、 高精度位置天文観測を用いてX線連星・ガンマ線連星の恒星の連星軌道を測定し、高密度星の質量 を推定することによって高密度星の種別(BH, NS, WD)を判定する方法を考案した。また、実際の連 星(Be/X線連星γ Cas およびガンマ線連星4天体)に対して、高密度星の判定精度を計算した。そ の結果、γ Casに対して70マイクロ秒角の位置決定精度で観測すれば、99%の確率でWDと同定でき ることがわかった。また、10マイクロ秒角の精度があれば、ガンマ線連星4天体のうち2天体の高 密度星(NSまたはBH)が97%かそれ以上の確率で同定可能であることがわかった。したがって、Gaia の位置天文観測によって、γ Casとガンマ線連星2天体の高密度星をほぼ決定できると期待される。