あけましておめでとうございます.

昨年の暮れに,IKAROSと分離カメラが世界記録に認定されたことについて,
イカロス君からコメントするように催促されていましたが,年末の忙しさで
なかなか更新できずに申し訳ございませんでした.
(イカロス君は本当に何の前振りもなく無茶ブリをします・・)

1. 最初の惑星間ソーラーセイル宇宙機「IKAROS」
世界初のソーラーセイルをだれが実現するか2000年以降に本格的な競争と
なりました.米国惑星協会やNASAのミッションが相次いで不首尾に終わり,
IKAROSにチャンスが回ってきたという形になりましたが,IKAROS計画は
打ち上げが近づくまで公表しませんでした.
出し抜かれるのを避けたかったためです.
IKAROSは大型ソーラーセイルを見据えた仕掛けを多く取り入れ,
深宇宙で正確にソーラーセイルの性能を評価することを目指していました.
超小型の地球周回のソーラーセイル実験機であればもっと早く開発できる
かもしれません(もっともIKAROSの開発期間も2.5年と非常に短く,
後発での逆転は難しいと思いますが・・),
太陽系大航海時代に向けてソーラーセイル技術に目いっぱい挑戦しつつ,
世界初のソーラーセイルを実証できたことを誇りに思います.

2. 最小の惑星間子衛星 「DCAM1とDCAM2」
宇宙機から物体を切り離せば何でも子衛星になるわけではありません.
分離カメラはIKAROSと通信をすることが子衛星の根拠となっています.
はやぶさで言うと,MINERVAがこれに該当します.
MINERVAも分離カメラもミッション成否には直接は影響しませんが,
強烈なインパクトのある画像を送るという点で同じです.
もしMINERVAをうまく放出できて,小惑星表面の撮影に成功していたら,
2005年の段階ではやぶさのミッションはもっと知れ渡っていたでしょう.
この経験も踏まえて,IKAROSでは分離カメラを2台搭載し,セイル展開画像
を何としても取得するという意思を込めました.
IKAROSの画像は狙い通り世界をあっと驚かせることに成功しましたが,
それだけではなく,ソーラーセイルの研究にも大いに役立っています.
分離カメラははやぶさ2にも搭載される予定です.お楽しみに!

イカロス君とDCAM1ちゃん,DCAM2くんも自分たちの活躍が世界記録として
認定されてさぞ喜んでいると思います.
きっと近いうちに3人で世界記録についてお話してくれると思います.
(無茶ブリ返し・・)


IKAROSは昨年11月22日までに再び冬眠モードに移行しました.
次の冬眠明けは初夏だと予測しています.
今後,運用を実施するかどうかは確定していませんが,
少なくとも,今年度の運用はありません.
(前回の冬眠明けを予測できたことで,精度が向上し,
 冬眠中に運用を行う必要もなくなりました・・)

一方でIKAROSの成功を受け,ソーラー電力セイル探査機の検討が着々と
進んでいます.このブログの更新を続けてIKAROSおよび次期計画の状況
について報告していきたい(月1回ペース?)と思います.

今年もよろしくお願いいたします(O).