(例 1) MACHO カタログとマッチアップしたい場合
- 「SIMBAD Cache」を選択.
- Pattern for object name に「MACHO %」をセット
- Pattern for object typeの入力欄を消去
(例 2) SDSS カタログの一般の銀河とマッチアップしたい場合
- 「NED Cache」を選択.
- Pattern for object name に「SDSS %」をセット
- Pattern for object type に「G」をセット
(例 3) 既知のクェーサーすべてを探したい場合
- 「NED Cache」を選択.
- Pattern for object name に「%」をセット
- Pattern for object type に「QSO」をセット
例 2 や例 3 の場合,天体種別を示す文字列の定義について,あらかじめ知っておく必要があります.これについては,次の URL で調べる事ができます.
SIMBAD : http://simbad.u-strasbg.fr/simbad/sim-display?data=otypes
NED : http://nedwww.ipac.caltech.edu/help/faq5.html#5k
なお,SIMBAD の場合「Radio, IR, Red, Blue, UV, X, gamma」のグループにある種別文字列は,天体種別が特定できなかった場合につけられるものです.したがってこれらを指定して検索しても,望む結果を得る事はできないので注意してください.
5. ユーザのオリジナルのカタログとマッチアップしたい場合
オリジナルの天体カタログの場合は,まず,天体カタログをテキストファイルに保存します.この時,カラムは「天体名」「経度」「緯度」の順でスペース区切りとします.経度と緯度は,J2000,B1950,Galactic,Ecliptic のいずれかで用意し,表記は degree 単位の実数でも「xx:xx:xx.x」形式でもかまいません.
AKARI-CAS のトップページの左メニューの「Object Cross-ID」を選び,用意したテキストファイルを指定し,検索条件をセットして「Submit」をクリックします.
6. 任意の検索結果に,SIMBAD/NED の情報等を付加することも可能
AKARI-CAS の座標検索や,5.で述べたような Cross-ID 検索の結果に対して,SIMBAD または NED による情報を付加する事も可能です.
また,AKARI-CAS は,RC3,IRAS-PSC,IRAS-FSC カタログもデータベースに持っており,これらと「あかり」カタログとをマッチアップさせるといった事も可能です.
ユーザがこのような検索を行なうには,現状では SQL ステートメントを直打ちする必要がありますが,SQL の基本を理解し,AKARI-CAS のテーブル・ビュー構造を理解していれば難しい事ではありません.
このように,AKARI-CAS は,「あかり」カタログだけでなく,関係する重要な天体情報をデータベースに持つ事により,AKARI-CAS だけで研究の場面に応じて自分専用カタログを柔軟に作成できるようになっているのです.
8月19日(木),20日(金) に国立天文台の大セミナー室にて「光赤天連シンポジウム」が開かれます.筆者はここで少々お話をする事になっていますので,このようなやや高度な使い方について取り上げる事になるかもしれません.興味がある方はぜひ参加してください.
7. おわりに
AKARI-CAS は,簡単な検索から高度な検索まで,幅広い研究者ニーズに応えるべく設計された,世界でも珍しいタイプの天体カタログ検索サイトです.もちろん,AKARI-CAS を使いこなすには,SQL についてのある程度の知識の習得が必要です.AKARI-CAS ではユーザが容易に SQL を習得できるよう工夫していますが,難しいと思われる方が少なくないかもしれません.
SQL の知識はアーカイブサイエンス研究にとって非常に強力な武器であり,検索だけなら習得は難しくないという事をどのようにして伝えていくか.それが AKARI-CAS にとって,今後の課題の 1 つです.