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第53号 1998年3月6日発行

目次


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宇宙運用システムの新技術
(第1回 パケットテレメトリについて)

 宇宙運用システムの分野で最近採用されつつある新技術について今回から何回かの連載で紹介したいと思います。連載の前半では、基礎的な技術をそのバックグラウンドもまじえて紹介し、連載の後半では現在宇宙研で構築中の新衛星運用システムで使われている新しい方式の紹介をします。

 現在の宇宙運用システムは、パケットテレメトリというテレメトリ方式を採用することを前提とし、パケットテレメトリの利点を大いに活かすように構築されています。そこで、今回は、このパケットテレメトリについてお話しすることにします。パケットテレメトリは、世界中のほとんどすべての科学衛星で採用されていますし、宇宙研でも PLANET-B LUNAR-A で部分的に、そして ASTRO-E からは本格的に採用されます。

 従来のテレメトリは、搭載機器が発生したテレメトリデータをフレームという固定長のデータ単位の中の特定の固定的な場所に挿入することによって伝送していました。しかし、最近の搭載機器では、取得されたデータに処理を施し、処理済みのデータをテレメトリとして送ることが増えています。このような場合、観測の結果に応じてデータ発生量や発生頻度がダイナミックに変化します。このようなデータを従来の固定的なテレメトリ伝送方式で送ろうとすると極めて不効率になってしまいます。  

 パケットテレメトリは、このような処理済みのデータを効率よく送るために考案された方式です。パケットテレメトリでは、テレメトリデータを可変長のパケットという箱(データ単位)に挿入して伝送します。衛星と地上との間の無線回線の上では、パケットは固定長のフレームに挿入されて伝送されますが、データを発生する装置もデータを処理する装置もパケットのみを意識すればよく、フレームを意識する必要はありません。

 以上のようなパケットテレメトリが採用された場合、必要なデータをパケットを単位として搭載機器から地上の利用者まで送り届ける仕組みが必要になります。この仕組みは、インターネット上でデータを伝送する仕組みとも似ていますが、インターネットと全く同じではありません。パケットテレメトリを採用したときの衛星から地上へのデータの流れを模式的に示したのが下の図です。搭載機器はパケットを単位としてデータを発生します。発生されたパケットは、あるものはリアルタイムに、あるものは途中で一旦蓄積されてから地上の利用者に届けられます。地上でパケットを受ける装置は、それぞれの装置において必要な種類のパケットのみを選択的に受信します。



(山田 隆弘)


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コンピュータの 2000 年問題について

 西暦 2000 年を間近に控えて、大きな問題になっているのが、いわゆる「2000 年問題」です。

 2000 年問題とは、コンピュータ等で西暦 2000年以降の日付を正しく扱うことができなくなったり、西暦 2000 年になった途端にそれまで正常に動いていた筈のコンピュータやアプリケーションに不具合が生じたりする問題のことです。その原因は一部のソフトウェアや BIOS 等が処理の際に西暦を下 2 桁しか感知しないことにあります。これらの多くは 1900 年代を前提としているため、2000 年代の日付を正しく扱うことができないのです。

 普段の作業で日付を扱うことがないから大丈夫と思われがちな環境でも、利用者が知らないうちにアプリケーションや OS 自身が日付情報を参照して処理していることが多々あります。

 既に西暦 2000 年まで 2 年を切ってしまいました。その時になって慌てても後の祭。今のうちにお手持ちのコンピュータや OS、アプリケーション等が 2000 年問題に対応したものかどうか確認することを強くお勧めします。

 なお、2000 年問題関連の情報を

http://www.pub.isas.ac.jp/docs/year2000/

にまとめておきますので、確認の出発点として御利用頂ければ幸いです。  
(三浦 昭)


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大型計算機に関するお知らせ

氈D課題更新手続きについて

  現在利用されている課題の有効期限は、3月31日迄となっておりますので、次年度も引き続き利用される課題の更新手続きは、3月20日(金)迄にお願いします。課題申請用紙は、3月3日(火)にお送りしましたのでご利用ください。

 課題更新用申請用紙のフォーマットについて
 課題申請用紙は 3 種類ありますので、申請目的にあった用紙をご利用ください。

(1) GS8400/20 MSP 用新規申請用紙
(2)UNIX 用新規申請用紙
(3) 課題更新 MSP、UNIX 更新用申請用紙

MSPと UNIX は、各々別の予算管理をしておりますので、申請時には各々予算登録をしてください。
更新用用紙には同一予算費目、同一内容のUNIX.MSP のセット課題を上段・下段に記入し、提出してください。
新規課題申請用用紙はA棟4F,7F,B棟1F,C棟2F,D棟2Fの各サブステーションのレターケースの中にあります。

.大型計算機年度末処理について

 毎年行われている年度末処理を、今年は 3月 30 日(月)、31日(火)の2日間に行います。年度末処理では、次の事項を行います。

.システムバックアップ
.年間ジョブ集計、課金集計処理
.課題登録、更新処理
.マスタファイルの切り替え
.CEファーム改版作業
.重大障害修正作業と確認
長時間ジョブのイニシエータは特に事前の停止は行いませんので、各自の判断で入力してください。30日の9:00までに終了しないジョブはキャンセルします。
GS8400/20 の MSP におけるジョブ出力結果は、3月29日迄に取り出してください。又、取り出しできなかったジョブ出力は、MT にバックアップを取ってありますので、必要な方は4月1日以後、内線 2063 高橋まで連絡してください。
課題の更新をしない方は、3月29日までにプログラム.データの MT 吸い上げを行い、ファイルの消去をしてください。データのバックアップには SASAR ,SASMV があります。

。.3月・4月の計算機保守作業予定

 3月・4月は、下記の通り保守作業を予定しております。

M:メンテナンス  



※1 4月の保守はVX/2です。イニシエータクローズは特に行いませんので利用者の判断で入力して下さい。保守作業中はシステムフリーズとなります。  

(関口 豊)


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