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第50号 1997年12月10日発行

目次


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ゴダード訪問記

 この11月に、NASA の GSFC (ゴダード宇宙飛行センター)に訪問する機会をいただいた。訪問の目的は、現在宇宙研のデータベースシステム DARTS にいれる「あすか」の新しいデータについて、また、新たにデータベースにいれる「ぎんが」のデータ処理プロセスとその構築について、話し合うことであった。ここでは、その訪問記として HEASARC の軽い紹介と、私の印象を記させていただく。

 GSFC にある高エネルギー天体物理のデータベースセンター (HEASARC) では、高エネルギー天体観測衛星の巨大なデータベースシステムが稼働している。対応している衛星は「あすか」「ROSAT」「CGRO」「RXTE」などではじまり、「Einstein」「Ariel5」「BBXRT」「EXOSAT」など数多く、これらの衛星のデータが、簡単に検索、取り寄せられるようになっている (http://heasarc.gsfc.nasa.gov/)。また、HEASARC は単なるデータ配布システムに留まらず、検索システムの改良から、解析ツールの配布、ユーザーの質問への対応など、さまざまなことを行っている。ここへ行けば誰でも解析できるようになるといった感じで、まさに高エネルギーデータ解析システムの総本山といったところだ。

 私は HEASARC に web 経由でアクセスしていた時から、そのデータシステムの巨大さに驚いてはいたが、今回、実際に開発している現場を見てさらに驚いた。第一、コンピュータシステム(ハード / ソフト)で 10 人以上専任のスタッフがいるし、さらに各衛星ごとに数人のデータ処理担当者がいるので、ぜんぶで数十人という大所帯にっている。DARTS とは文字通り「桁がちがう」。その彼らが一丸となって開発するのだから、そのパワーたるやすごいものがある。

 そういった中で、特に私に印象に残ったのは、いかに科学者に使いやすいようにするか、という事に対する HEASARC 開発者たちの態度であった。科学者にとって何が必要か、生データと同時にどこまで処理したデータを提供できるか、どこまでやってはいけないのか、ということを非常によく考えて、データベースの構築を行っている。

 また、HEASARC では、各衛星プロジェクトに、それぞれの分野で第一線で活躍している科学者が複数ついていて、データベース利用者からの質問などに対応している。彼らの存在によって HEASARC のデータベースは、科学者にとっての「使いやすさ」を追求するのと同時に「そのデータは何をどこまでできるものなのか」といった視点を確保している。

 彼らのデータを見る確かな目に好感を持ったのと同時に、自分も DARTS の中で X 線天文を専門とする者として、データの限界を見ながら落ち着いて開発を行っていこう、と改めて思いなおした次第である。

 このほかに個人的な話ではあるが、今回の訪問中、データベース関連の仕事で空いた時間を利用して、専門である超新星爆発について一時間のセミナーをする機会をいただいた。専門の研究内容について NASA の研究者たちの中で議論できたことは、とてもよい刺激となった。

 最後に、このような素晴らしい機会をつくって下さった、宇宙科学研究所の長瀬文昭教授と、GSFC の Nick White 教授に感謝の意を表し、この訪問記を終らせていただきたいと思う。
(宇野 伸一郎)


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平成9年度宇宙科学企画情報解析センターシンポジウム

「スーパーコンピューティングと高速ネットワーク利用の現状と展望」 

開催のお知らせ


 宇宙科学研究所では平成 10 年度末にスーパーコンピュータの更新を控えており、次世代スーパーコンピューターに対する期待が日増しに高まっています。この次世代スーパーコンピュータの利用を念頭において、現状からのステップアップとして次期スーパーコンピュータで何が可能となるのか、ということを今から議論しておくことは意味のあることだと思われます。 又、最近、ATM 等による高速ネットワーキング環境が利用可能になりつつあります。ATM 環境は動き出して日もまだ浅く、利用形態にはいろいろな可能性が秘められていると思われます。こうした高速ネットワークを利用した新しいネットワークの利用形態を議論し様々な可能性を検討するのによい時期でしょう。今回のシンポジウムではこうした次世代のスーパーコンピューティング、高速ネットワーキングに対する期待と展望を議論して頂きたいと思います。ふるってご参加くださるようお願いいたします。


 日時:平成 10 年 1 月 13 日(火)
 午前 10 時から午後5時
 場所:宇宙科学研究所 本館2階大会議場

 なお、参加申し込み締め切りは、平成 9 年 12 月10日(水)とさせて頂きます。ふるってご参加ください。

 なお、招待講演として次の4人の先生方にお話をしていただくことになっています。


 荻野 竜樹

(名大・STE研)

「スーパーコンピュータの現状と次世代への期待」

 平木 敬

(東大理・情報)

「スーパーコンピュティング環境としての高速ネットワーク」

 藤井 啓文

(高エネルギー機構)

「高エネルギー物理学実験におけるネットワーク利用」

 松田 卓也
(神戸大理・地球惑星) 「神戸大学の新システムについて」


問い合せ先: 篠原 育
 (内線 2082, E-mail : iku@stp.isas.ac.jp)

(篠原 育)


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大型計算機に関するお知らせ

.12月、1月保守作業予定


VPP500 の 12 月 15 日(月)の定期保守は中止にして 1 月 4 日に行います。
VPP500 の 12 月 27 日からの作業は OS の修正作業のため、システム内にジョブが無い状態で作業をしますので、保守作業開始までに終了出来ない可能性のあるジョブ(27日 8:00 の時点で実行中のジョブ)はキャンセルさせていただきます。


.ファイルサーバ用 UPS の電池交換について

 ファイルサーバ用 UPS の電池が老朽化したため、電池交換作業を 1 月 19 日(月)8:00〜10:00の間に行うため、ファイルサーバの運用を停止します。この時間帯はホーム領域として使用している VPP 500 / 7、VX / 2、DEC Alpha 及びその他 UNIX サーバ群も運用停止となります。


。.大型計算機の年末・年始の運転スケジュール 


※1 GS 8400 / 20 は 12 月 26 日(金)18:00 に自動運転モードとなり、運転条件が終了すると電源断となります。運転継続した場合でも28 日(日)17:00 にセーブホルトになります。
※2 12 月 29 日(月)から 1 月 3 日(土)の間の連続運転中はセンターオペレータが不在のため、システムダウンがあった場合、1 月 4 日(日)まで対応が出来ません。

※注意  大型計算機関係の各サブステーション・オープンステーションは 12 月 26 日(金)18:00 でクローズします。


「.計算機登録予算の移算締切について

 前年度と同様、今年度も下記日時で計算機登録予算の移算処理を締め切らせて頂きます。 

  締切日 平成 9 年 12 月 25 日(木)17:00

 尚、上記日時以後も予算追加は出来ますが、その追加予算は翌年度移算となりますので、配当が確実なものに限ってください。


」.OA ディスクの共用換について

 センター内のレイアウト等の変更により下記物品が不要となりましたので、研究室で利用希望が有りましたら無料で差し上げますので関口宛連絡下さい。



(関口 豊)


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編集発行:文部省宇宙科学研究所
宇宙科学企画情報解析センター
〒229 神奈川県相模原市由野台 3 -1-1 (Tel 0427-51-3911,内線 2611)