M−Vロケット8号機,第2組立オペレーション始まる
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推薬庫からM組立室に向かうM−Vロケット第1段モータ下部(SEG2)
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M−Vロケット8号機の第2組立オペレーションが,内之浦宇宙空間観測所で始まった。JAXAとなってからは,作業の合間に休日をきちんと入れること,無理な残業につながらないよう時間的に余裕を持ったデイリースケジュールとすることの2点が重視されるようになった。その恩恵(?)で,今回の第2組立オペレーションも11月29日〜12月28日という丸1ヶ月の長丁場となっている。実験班の面々は,家族と離れ,肝付町(町村合併により長年親しんだ内之浦という町名は消滅した)で寂しく(人によっては楽しく?)クリスマスを過ごすことになりそうだ。
2005年度は1月,2月の打上げ期の間にM−V−8号機で打ち上げる赤外線天文衛星ASTRO−Fのほかに,観測ロケットS−310−36号機,ALOS,MTSAT−2と打上げ予定が目白押しで,関係者はスケジュール調整に追われる羽目となり,さすがのクリスマスも28日以降にお預けとなってしまった。
前回ASTRO−EIIを打ち上げたM−V−6号機のオペレーションと合わせると,ほぼ休みなく各種のオペレーションが続いているといってもよく,前号機で勘を取り戻した百戦錬磨のベテラン実験班員たちは,実にスムーズに各種作業を進めてくれている。人間の学習機能が最大限活かされているように思われる。
本原稿締め切り日の12月16日までは,まだロケット機体の組立作業が中心で,第2組立オペレーションのハイライトである動作チェック・タイマテスト(ロケット搭載機器すべてに電源を入れて行われる電気系のチェック)は,まだこれからである。とはいえ,相模原で行われた噛合せ試験で電気的な問題は基本的につぶしてきたはずなので,関係者の習熟度アップも踏まえればこの先の作業も間違いなくスムーズに進み,みな気持ちよくすがすがしい気分で3日遅れのクリスマスを迎えられるものと信じている。2006年は打上げを次々と成功させ,JAXAとしてのhappy new yearとなりますように。
(山本 善一)
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