No.220 |
<研究紹介> ISASニュース 1999.7 No.220 |
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HXTと電波ヘリオグラフでほぼ同時に撮影されたフレアーの画像の例を図1に示す。このフレアーは1994年1月6日04:05 UTに撮影されたもので,硬X線およびマイクロ波でのフレアーの継続時間は約40秒,その間に継続時間10秒程度のスパイク状の変動が繰り返し見られた。図1(a)はマイクロ波の強度を濃淡画像,円偏波率の程度を等高線で示したものであり,実線で描かれた等高線は右円偏波成分が卓越している領域,破線で描かれた等高線は左円偏波成分が卓越している領域を表している。図1(b)は硬X線の強度を等高線で,またほぼ同じ時間に撮られた軟X線画像を濃度画像で示したものである。図1(a),(b)とも視野は2.6分角 x 2.6分角で,画像間の位置合わせの精度は5秒角以内である(ちなみに,太陽の可視光での視直径は32分角である)。図1(c)は硬X線源,軟X線源,マイクロ波源の位置関係と形状を模式的に示したものである。マイクロ波の偏波率の分布は,おおまかにいうと放射に関連した磁力線がどちらを向いているかを表している。図1(a)および(b)からは,硬X線のループ状構造H1が双極磁場を結ぶように存在していること,この場所から北東側(図の左上側)にむかって伸びるマイクロ波のループ状構造M2が存在していること,さらにその北東側の足元には硬X線のパッチ状構造H2があることなどがわかる。
このフレアーを含めた24イベントについて硬X線とマイクロ波の画像を重ね合わせ,放射源の形状や時間的な進化,放射源相互の位置関係,マイクロ波における偏波率の変化(=コロナ磁場の向きの変化)を形態的に調べてみると,その多くが
(a) 位置が一致したふたつの硬X線源およびマイクロ波源,
(b1) ふたつのマイクロ波源とその一方に見えるひとつの硬X線源,
(b2) ふたつのマイクロ波とその一方に見える二重硬X線源,
(c1) 二重硬X線源とそこから伸びたマイクロ波源,
(c2) 3つの硬X線源とそれらをむすぶ伸びた形状のマイクロ波源,
の5つの形態のどれかに属することがわかった。図2は上に示した5つの形態を模式的に示したものである。この結果に,検出感度や空間分解能などの望遠鏡の性能限界に依存した放射源の見え方の違いを加味すると,5つに分類されたフレアー群に共通する基本構造が浮かび上がってくる。これは大雑把に言うと,「フレアーに関連している磁気ループは1本だけではなく,複数同時に存在している」,「その複数のループは長さが大きく違う組合せになっている」ということである。なお,同様の結果は,筆者らの方法とは別の解析法(マイクロ波および硬X線,軟X線の画像上で3つ以上の放射源が捕えられたフレアーを集めてその特徴を調べるという方法)においても報告されている。望遠鏡群が,この結論を導き出すのに非常に適した性能まで向上していたというべきであろうか。
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(にしお・まさのり)
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