主に,微量元素の定量分析に用いられる質量分析計。装置は主に,試料導入部,イオン化部,質量分析部から構成される(図参照)。試料は酸分解,溶液化,希釈といった化学処理を経たのち,試料導入部で装置に導入される。ここで,試料溶液は細かい霧となり,大気圧下で発生させた数千度のアルゴンプラズマ中に導かれ,元素はイオン化する(イオン化部)。生じたイオンは小さな穴を通して高真空に保たれた質量分析部へと導入され,4重極マスフィルター(Q-pole type ICP-MSと呼ばれる),または,電磁石(Sector type ICP-MSと呼ばれる)によって質量分析されたのち,検出される。前者は10-6〜10-9g/ml,後者は10-9〜10-12g/mlの感度を持つ。装置的には完成されているので,重要なのはいかに目的元素を低ブランクかつ高回収率で分離し,溶液化するといった前処理がポイントである。