ISAS NEWS SPECIAL No.11

Special-011

惑星間空間水素ライマンα光強度分布


 火星探査機「のぞみ」に搭載されている紫外撮像分光計は火星到着までの巡航期間に惑星間空間水素ライマンα光強度を測定している。太陽から輻射されたライマンα光は惑星間空間に漂う中性水素原子によって散乱されて,地球の青空のように惑星間空間を光らせている。惑星間空間水素の源は星間風と呼ばれる銀河系内の物質の流れである。ライマンα光の分布図上で明るく見える方向は星間風が吹いてくる方向である。星間風水素原子は太陽に近づくにつれて次第に太陽紫外光によって電離され陽子になる。陽子は光を散乱しないので,星間風の下流方向はライマンα散乱光が暗く見える。「のぞみ」による観測は,太陽活動に応じて惑星間水素ライマンα光強度が変化する様子もとらえている。


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太陽圏(ヘリオスフェア)


 太陽系は銀河中心から3万光年ほどの距離にあり,他の銀河系を構成する恒星とともに銀河中心の回りを回っている。太陽系は局所的には周辺の物質に対して秒速約20キロメートルで運動している。太陽系周辺の物質の相対運動が星間風として観測される。太陽磁場は太陽風によって流されて太陽磁気圏を形成している。太陽磁気圏はその外縁部で星間磁場に繋がっている。一方,太陽紫外線は星間風水素やヘリウムを電離し,太陽風によって太陽磁気圏外へ運び出す。この太陽の影響力が及ぶ範囲(およそ100天文単位)を太陽圏と呼ぶ。太陽圏外縁部についてはまだ直接探査はされておらず想像の域を出ない。


 
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