No.228
2000.3

<送る言葉>   ISASニュース 2000.3 No.228

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おとっつぁん

市 川 満  

 レーダーと大型計算機に39年,ご苦労様でした。また,色々と大変にお世話になりこの紙面を借りて,お礼申し上げます。

 東大生研に日々雇用の身分で採用,ある日高木昇先生に「お前達を助手にするがすぐには辞めないと約束しろ」と言われた。あれから今日まで2人揃って東大,宇宙科学研究所とやっかいになるとは夢にも思っていなかった。自分達のロケット実験への参加は,秋田県の道川時代(K-8型)からである。実験は年5〜6回のぺースで,かなりハードであったが,今日では楽しかった事ばかりが思い出せる。突然の休日には,実験班お決まりの“ゴム長姿”で連れ立って市内にくりだし,デパートには買い物もないのに度々と出かけた。実験あい間のカード(コントラクトブリッジ)に将棋。関口さんの将棋相手はいつもお決まりで,指相撲のような一戦に班を割っての応援に沸いていた。ロケットの追跡ともなると,先輩達の手慣れた装置を調整しながらの追尾,これはすさまじい光景であった。手動式レーダーとまで酷評されたこともあったが,これが自分達が初めて接した,我が国最初のロケット追尾レーダーである。この2mφレーダーを道川から鹿児島まで担当された関口さんの貴重な経験が後に3.6mφレーダー設計の基になっている。完成後,20年以上過ぎても,故障なく稼動しているこのレーダーを見るたびに,関口さんのレーダーにかけた人柄が感じられる。

 現在,道川海岸は浸食がひどく,昔日の面影は全くないとの事ですが,いつかまた,楽しい旅にご一緒できたらと思っています。

(いちかわ・みつる)


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