No.206 |
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沿岸に点在する定置漁場では今が本格的な春漁シーズンで,主にマス類が網にかかっています。この地方で「サクラマス」と呼んでいるのは実は和名が「カラフトマス」です。そして和名が「サクラマス」,つまり本当の「サクラマス」を「ママス」と呼んでいます。「カラフトマス」はちょうどサクラの季節が一番の漁期ということでその名が付いたようです。この他面白い名前では「エゾイソアイナメ」が「ドンコ」,「スケトウタラ」を「キツネタラ」,「アイナメ」を「ネウ」などむしろ親しみを覚える名が付いています。
三陸大気球観測所から放球される大気球は,この沿岸に機影を写しながら上昇して行きます。
長時間観測のブーメラン気球,長距離飛行が得意な衛星リレー気球,極付けは高高度気球。97年1月に放球した高高度気球は結局50.22kmまで上昇する新記録になり,私も皆さんの喜びをカメラに収めることが出来ました。おかげで高高度気球の高度記録はNHKの全国ニュースで放映し国際ニュースとして海外にも流させて貰いました。
小型ロケットの領域の観測に道を開いたこの気球は,新しい大気球観測の幕開けを感じさせてくれました。私が大気球の取材を始めたのは,もう20年以上も前になります。その頃「白鳥座X線星」がブラックホールの可能性が強いという話を聞き驚いたものでした。私にとってブラックホールはそれまで童話の世界の話でしかなかったからです。
私はもともと宮沢賢治の童話の世界に出て来る星座の話が好きでした。
「天の川の西の岸に,すぎなの胞子ほどの小さな二つの星が見えます」と書き出している,ご存じの「双子の星」チュンセ童子とポウセ童子が,一晩中銀笛を吹く。その曲が宮沢賢治作詞,作曲の「星めぐりの歌」です。
放球され力強く舞い揚がる大気球が,目当ての星を求めて上昇を始めますとついこの「星めぐりの歌」を口ずさみたくなるから不思議です。
あかいめだまのさそり ひろげたわしのつばさ
あおいめだまのこいぬ ひかりのへびのどくろ
オリオンは高くうたひ つゆとしもとをおとす
また宜しくお願いします。
(NHK釜石通信部 やまかわ・けん)
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