No.194
1997.5

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2.3 地上保安

 警戒区域の拡大に関しては打上げ1年位前から,関係振興会長さんあるいは直接住民の方々に対する説明会を開き御理解を得,打上げ時には退避壕あるいは集会所に退避していただく事になった。振興会長さんには打上げ期毎に開催される内之浦町協力会の席上で宇宙研の実験内容を御説明する機会はあるが,直接住民の方々と話をしてみるといろいろな御意見がある様子。今後とも定期的に直接住民の方々と話をする機会を設ける必要性を感じた。

 M-3Sロケット打上げ時から,発射時に牛が驚いて暴れるという話があり,8号機の打上げ時に音響/地振動の計測を行なった。M-Vは推力が倍増するので状況は更に悪化する事が懸念されたため,音響が家畜に与える影響の勉強を始めた。しかしこの分野の研究者は極めて少なく,北海道庁の紹介で帯広畜産大学の先生から論文を送っていただき調べたところ,これという有効な対策は無く,慣らす事が一番という事になり,笑い話に近いが,牛に発射時の音を再生して何回も聞かせる事を計画した。昨年12月の組立オペレーション時に発射点直下の牛小屋の前に大型スピーカを置き,M-3S-8号機の発射音を,レベルの低いところからM-Vで想定されるレベル迄数回聞かせたところ,最大レベル時に牛が暴れ出し,M-V発射時は如何にしたものかと悩んでいたところ,内之浦の牛の飼育のベテランの方から以前うかがった事を思い出し,牛のつなぎ方で対応する事になった。結果としては,音のレベルはほぼ想定通り,しかし牛は暴れなかった。打上げ時の天候等も影響するのかもしれないが,私としてはホッとしたというのが正直なところである。音響に関しては,次号機以降も計測しデータを蓄積したいと考えている。

(中島 俊)



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コラム8 道に迷う
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2.4猛練習は宇宙を制す
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ISASニュース No.194 (無断転載不可)