No.194
1997.5

コラム

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勝浦追跡センター

 MUSES-Bの打上げ時の追跡が宇宙開発事業団勝浦追跡管制所の支援を得て行われた。
 前日に打合わせを済ませ,打上げの日を迎えた。万全を期すために2基のアンテナを駆動。メインが周回衛星用のF-1アンテナ(±4度の捕捉アンテナ装備),バックアップとして静止衛星用のF-2アンテナ(捕捉 アンテナなし)である。意気込んで体制を整えて待った。「本日は風が強いので打上げ中止」との連絡が入り拍子抜け。
 翌日,衛星の発振周波数の連絡が入ってくる頃になると,いよいよ緊迫。打上げ時刻Xの5分前に,内之浦から再び電話連絡が入り,電話をかけっぱなしの状態にしてもらった。勝浦局の受信状況を刻々と知らせるためである。長い長い待ち時間に感じたが,X+110秒にロケットを捕捉した。X+197秒にAGCレベル変動の幅 が大きく不規則に振動(ノーズフェアリング展開)を開始し,X+217秒にこの振動がなくなったことから第2段分離を確認。その後はレベルの変動は安定し,再びX+330秒にレベルが短周期の振動を始め,第4段のスピン開始を知った。第4段の点火はその直後と思われるが,大きな振動波形の中に埋もれて,読みとれなかった。X+480秒頃になるとその振動幅が急に小さくなり,第4段の分離を確認した。衛星の一人旅の開始。
 X+595秒頃に勝浦局は消感。データを検討し,レンジレイトの時間微分を勝浦局の所長が計算したところ,X+343秒頃に加速度が増すところがあり,その時に第4段の点火が開始したことを知った。以上の追跡経過は予測データと良く合っていたことから,打上げは完璧であった。

(藁品正敏)



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