No.193 |
![]() |
- Home page |
- No.193 目次 |
- 研究紹介 |
- お知らせ |
- 送る言葉 |
- ISAS事情 |
- でっかい宇宙のマイクロプロセス |
- 東奔西走 |
- パソコン活用術 |
+ いも焼酎 |
- BackNumber |
それから2,3ヶ月待ったが,まったく何の音沙汰もないので,まず手紙を書いたが返事はない。米国出張のたびに電話をしたところが,最初に述べたような結果である。本人は電話で話には出てくれなかったが,娘が受けたときに,一応話ができた。「バーバラは,ずいぶん家や付属品が傷められたといって怒っている」という。「それなら具体的にちゃんと話してくれ」とかけあったことろ,やっと,重い腰を上げたバーバラから,手紙がきた。古い家具が傷んだとか,針小棒大に書き並べて,損害額は千ドルを越えている,という。
窮しているとスタンフォード大学の友人が,裁判所へ持ち込むことを勧めてくれ,サンタクララ地区の裁判所へ出向くことになった。係争物件が1,500ドル以下の「Small Affair's Court」と呼ばれる簡易裁判である。やっかいな書類に書き込んで,さて,提出してみると,よくいわれる米国の政府機関のサービスの悪さの典型で受付の女性が,また何とも愛想が悪い。裁判の日を決めろという。それも2ヶ月先までつまっていて,それも火・木の午前中しかやっていないという。そんなに海外出張がうまく入るはずがないし,千ドルのために日本からわざわざは来れない。困り果てたが,やらないよりはましだと思って,シャトルの会議の翌日を予約した。フロリダのケネディ宇宙センターの会議を終え,夜サンフランシスコに泊まり,翌朝その裁判を受けて午後1時の飛行機に乗れば何とかなりそうで,その裁判を受けることにした。
- Home page |
- No.193 目次 |
- 研究紹介 |
- お知らせ |
- 送る言葉 |
- ISAS事情 |
- でっかい宇宙のマイクロプロセス |
- 東奔西走 |
- パソコン活用術 |
+ いも焼酎 |
- BackNumber |
ところが,これで一件落着かと思いや,そう単純ではなかった。バーバラからは何の連絡もなかった。仕方がなく,次の機会にまた飛行機の乗り継ぎの合間をぬって,サンタクララ裁判所へ出かけてみると,例によって,サービスの悪い女性が応対して,もう一度法廷を開けという。もし,相手が,自分名義の財産を十分持っていなければ,裁判所としても取り立てようがないので,確認の審査であるという。何と面倒なものだと呆れつつも,次の法廷を開く機会を捜していたが,なかなかそう簡単に外国出張の予定がうまくそれに合う機会はなかった。その後は,スタンフォード大学の友人が動いてくれて,いろいろ手を尽くして
くれたらしい。ようやく,バーバラの弁護士の事務所から小切手を送ってきて一件落着した。 日本では裁判所には行ったことがないのに,初めての法廷がアメリカとは貴重な経験をした。スペースシャトルのSEPAC実験では,このような楽しい思い出を沢山残してくれたが,宇宙研のパンフレットの国際協力の項からも姿を消す過去のものになってしまった。しかし,故大林先生の残してくれた新しいものへの挑戦は,一緒にSEPACをやった仲間が,SFUや宇宙ステーションで活躍している。SEPACを範として,もっと古いものを整理して,新しい宇宙科学を育てることが21世紀世界をリードする道であろう。
(近畿大学理工学部教授,前宇宙研教授,かわしま・のぶき)
|
|
---|