54X線天文学(101秒)

地上からは観測できない波長の光があります。その代表的なものはエックス線です。

エックス線で観測すると、電波や可視光線ではとらえられない宇宙の高エネルギー現象を調べることができます。しかしエックス線は地球の大気に吸収されてしまいます。そのため地上からは観測できず、宇宙空間から観測するしかありません。

日本では小田稔(おだみのる)先生らがリードして早くからエックス線分野を開拓し、エックス線を出している天体「はくちょう座X-1(えっくす・わん)」がブラックホールである可能性を示すなど、世界的にも先駆けとなる成果をあげてきた歴史があります。

展示ではエックス線天文学に関連するものとして、エックス線がどの方向からやって来ているかを特定することができる発明品「すだれコリメータ」の原理模型や、はくちょう座X-1の位置を特定する過程の小田稔先生のノート、衛星に搭載用の「すだれコリメータ」などを展示しています。

時代とともに検出感度を上げてきた日本の歴代エックス線天文衛星である、「はくちょう」「てんま」「ぎんが」「あすか」「すざく」の模型とともにこの分野の発展のあゆみと到達点、さらに今後画期的な観測が期待されるエックス線分光撮像衛星クリズムの開発についても紹介しています。