06ペンシルロケット(133秒)

ペンシルロケットは、展示室の入り口の近くにあります。長さ23センチメートル、重さ200グラムのとても小さなロケットですが、これこそが1955年、日本の宇宙開発の原点を物語るものなのです。

当時糸川英夫先生は、航空工学、電子工学、空気力学、飛行力学などの分野の研究者を集めて東京大学生産技術研究所に研究班を立ち上げて、本格的に日本のロケット研究をスタートさせました。

当時入手できたマカロニ形の火薬のサイズに合わせてロケットをつくり、火薬に点火する燃焼実験を繰り返して、1955年4月、最初の水平発射実験を行いました。先端部分の材質を変えてロケットの重心をずらしたり、尾翼の角度を変えたりして、どのように飛び方が変わるのか基本的なデータをとったのです。

地道な実験の積み重ねにより、やがて秋田県の道川海岸からロケットを空高く打ち上げるようになり、ベビーロケット、カッパロケットの開発へとつながっていきます。

ロケットが宇宙を飛び回る未来を強く信じて研究に情熱をかたむけた先人たちの思い、そして実験を繰り返して得られた経験の積み重ねが、今日の宇宙科学につながる道を切りひらいたのです。

展示しているペンシルロケットは現存する実機のひとつです。火をつけて燃やした跡がはっきりと残っており、ロケットの後ろ側から照明を当てて燃焼跡を確認できるようになっています。

関連する写真や資料も、ペンシルロケットの近く、年表のはじめのあたりに展示してご紹介しています。