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4.2.時刻監視

 時刻比較についても,24時間単位の監視データをCRT上に見ることができる.また,その画面 をプリンター上に出力している.図10にプリンター記録の例を示す.1999年12月17日のデータと,その1週間後,12月24日のデータである.各図には4本の線が走っている.1つはGPS受信機REF(Rb)とUTC時刻符号の比較,他の3つは3台の水素メーザとGPS受信機REF(Rb)との比較である.CRT上では,4本の線は色分けしてある(水素メーザに関して緑,紫,水色,UTCには黄色).二つの図が示すように,水素メーザ系の時刻のUTCからのずれをこの画面上で監視できる.ずれは時間とともに増大する傾向をもつので,あるレベルに達したところで,各水素メーザ装置の秒時刻を零設定(リセット)し,表示上差の無い状態から再スタートさせる.


(a)


(b)
図10. 秒時刻比較の例
(a)リセット日、(b)一週間後

 なお水素メーザとGPS受信機REF(Rb)を比較するデータに階段状のステップが見られるが,これは,GPS受信機において,GPS受信機REF(Rb)がUTC時刻に対して±250nsずれたときに自動的にUTCに合わせる操作がなされることの反映である.このゼロ調整の動きは,GPS受信機REF(Rb)とUTCを比較するデータ上に見ることができる.また,GPS受信機REF(Rb)とUTCを比較するデータには,他に細かい揺らぎが重畳していることも見られるが,これはGPS回線のゆらぎやGPSのSA(Selective Availability)に起因すると考えられている.

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