その他X線天文衛星「すざく」

2000年2月、打上げロケットの不具合によって軌道投入できなかったASTRO-Eの再挑戦をかけたX線天文衛星。日米国際協力により製作が進められ、宇宙論的な遠距離にある天体のX線観測、宇宙の高温プラズマのX線分光観測を行う。

月探査機 LUNAR-A

「すざく(ASTRO-EII)」ミッションは、様々なX線天体について、これまでできなかった広いエネルギー領域(0.3-600keV)で、より高いエネルギー分解能かつ高感度で多くの観測研究を行いました。「すざく」の目的は、銀河団の高温ガスと宇宙の構造の進化や、ブラックホール流入物質の運動、高エネルギー粒子の加速の謎について、その手がかりを得ることです。

機体データ

名称(打上げ前) すざく(ASTRO-EII)
国際標識番号 2005-025A
開発の目的と役割 宇宙論的な遠距離にある天体のX線観測、宇宙の高温プラズマのX線分光観測等
打上げ日時 2005年7月10日 12時30分
場所 内之浦宇宙空間観測所
ロケット M-Vロケット6号機
質量 約1700kg
形状 6.5m×2.0m×1.9m(伸展式光学ベンチ伸展時)
折りたたみ(3つ折り)の太陽電池パドル2枚を備えた八角柱
太陽電池パドルの端から端まで5.4m
軌道高度 550km
軌道傾斜角 31度
軌道種類 円軌道
軌道周期 96分
主要ミッション機器 X線望遠鏡(XRT)
「あすか」衛星搭載のX線望遠鏡の有効面積と、桔像性能をどちらも倍近く改善した、新しいX線望遠鏡(口径40cm、焦点距離4.5-4.75m)伸展式光学台(伸展長1.4m)に5台搭載

高分解能X線分光器(XRS)
5台の望遠鏡のうちの1台の焦点面に備えられた高分解能X線分光器(マイクロカロリメータ)

X線CCDカメラ(XIS)
5台の望遠鏡のうちの4台の焦点面に備えられたX線CCDカメラ

硬X線検出器(HXD)
ガドリニウム・シリケート結晶を用いた無機シンチレータ(GSO)とシリコン検出器を組み合わせた、硬X線からガンマ線の領域の観測のための検出器
運用 打上げ後の衛星の状態を評価した結果、一層確実な運用を行うため、当初予定していたイベントの順序を変更し、打上げ翌日までに、スピンダウン、太陽電池パドル展開、3軸姿勢制御モード確立までを、順次、正常に完了した。7月12日12時30分から約4分かけて、X線望遠鏡伸展を実施した。伸展はすべて正常に行われ、所定の距離を伸展し、伸展状態で固定されたことが確認された。
「すざく」は1日に地球を15周するが、地上局(鹿児島・内之浦)から接触できるのは、その内の5回に限られるため、1日5回、約10分ずつの追跡オペレーションを行う。地上局と接触するまでのデータは、衛星搭載のRAM(Randam Access Memory)に貯えられている。
観測成果 2005年8月13日のXRT/XIS、8月20日のHXDの初観測以来、様々な観測成果を挙げている。「すざく」は、従来の衛星に比べ広いエネルギー帯域での観測が可能であり(従来の10keVまでに対し、「すざく」は 700keVまで観測可能)、世界最高レベルの感度を達成するなど優れた観測能力を実証し、宇宙の構造形成やブラックホール直近領域の探査等で順調に成果をあげている。2006年12月中旬には、日本天文学会欧文報告「すざく特集号」が発行され、科学論文25編とハードウエア/ソフトウエアに関する論文5編が掲載された。