軌道上にあるスペースシャトルなどの無重力空間で、炭酸飲料を飲むことは本当にむずかしいことなんだ。

炭酸飲料は、二酸化炭素を高い圧力で液体に溶かして、ビン、缶などに密閉した飲み物で、圧力が高い状態でないと、二酸化炭素は液体中に溶けていることができないんだ。炭酸飲料を飲むときに密閉されていたビンや缶を開けると、圧力が減少して、二酸化炭素が泡になってシュワシュワと出てくるんだ。

地上ではね、泡ができるとすぐに、浮力によって液体の表面まで登ってそこから空中に出てしまうんだ。だから泡は小さなままなんだけど、無重力状態では、液体の表面まで登ってくることができないから、液体の中にとどまったままで、次から次へと出てくる泡同士がくっついて、どんどん大きな泡になっていくんだ。この大きくなった泡によって、液体がはじきとばされて、ビンや缶の口から勢いよく吹き出しちゃうんだよ。そうなってしまうと、それを飲むっていうことはとてもむずかしいよね。もちろんジュースのように宇宙空間に球状にぽっかりと出すことは不可能だよ。

実際のスペースシャトルの標準的な宇宙食リスト中に、炭酸飲料は入っていないんだよ。名前だけ見ると間違えやすいものに、「apple cider (アップルサイダー)」があるけれど、これは普通にリンゴジュースのことなんだよ。

1985年夏にSTS-51Fで、「宇宙でコーラを飲もう」というプロジェクトが行われたんだ。コカコーラとペプシコーラがそれぞれ無重力でもコーラを飲むことのできる特別なハイテク缶を開発したんだよ。そのときコカコーラの開発した缶の方がよくできていたみたいだよ。コーラが一気に吹き出さないように、出てくる量を調節したり、液漏れが起こらないような工夫がされていたみたい。この缶の開発には、25万ドルかかったんだって。将来宇宙でコーラを注文したらいくらなんだろうね？