今までの質問と答え
摩擦力ゼロの宇宙空間で、質量10トンの人工衛星を人、1人で動かすことは、可能ですか?

2002.12 W. 13歳・男・東京

宇宙空間でも、地球表面でも、物を押すときの力は、

・面に垂直な力(垂直抗力(すいちょくこうりょく))と
・面に水平な力(摩擦力(まさつりょく))に分けられるんだ。

宇宙空間では空気がない(あるいは非常に薄い)のだけど、摩擦力は、物の表面の性質で決まるので、必ずしもゼロにはならないんだよ。

ところで、宇宙空間では、宇宙飛行士が10トンの人工衛星を押すときのことを考えよう。10トンの衛星のまん中の壁を押すとすると、摩擦力がたとえゼロであっても、垂直抗力は発生して、人工衛星は前に押され、宇宙飛行士は後ろに押し返されると感じるはずだよ。これを作用・反作用の法則というのだけど、この結果、人工衛星は前へ、宇宙飛行士は後ろへ進むんだよ、想像できるかな?

ただこの時、人工衛星の前に進む速度は、非常に遅いよ。
宇宙飛行士がその服を含めて100kgだとします。このとき、人工衛星は宇宙飛行士の100倍(100kg×100=10000kg=10トン)の質量があることになります。重い物と軽い物が押し合ったときには、重い物は少ししか動かず、軽いものは早く動くので、(これを運動保存の法則というのだよ)、例えば、人間が1秒あたり1mの速さではなれていくとすると、人工衛星はその100分の1、つまり1秒あたり1cmの速さでしたか前に進まないことになるよ。

ということで、答えとしては、“動かすことはできる”ということになるね。



前のページへ