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観測ロケットS-310-42号機/S-520-27号機 打上げ終了
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、高度70km〜300kmにわたる希薄な超高層大気の観測研究を目的とした観測ロケット2機を2013年7月20日に内之浦宇宙空間観測所から打上げ、実験は成功しました。
両ロケットの飛翔は正常で、搭載機器は計画通り動作し、内之浦南東海上に落下しました。
ロケット飛翔結果(S-310-42号機及びS-520-27号機を連続打上げ)
発射上下角 | 観測開始(ノーズコーン開頭)時刻 | 最高到達高度 | 着水時刻 |
---|---|---|---|
74度 | 打上62秒後 | 139km(打上185秒後) | 打上360秒後 |
発射上下角 | 観測開始(ノーズコーン開頭)時刻 | 最高到達高度 | 着水時刻 |
---|---|---|---|
78度 | 打上53秒後 | 316km(打上286秒後) | 打上556秒後 |
S-310-42号機では、打上げ後72秒から240秒間にわたり、高度60〜140km付近で、TMA(トリメチルアルミニウム、*1)を放出し、S-520-27号機では、打上げ後497秒から20秒間にわたり、高度120〜100km付近でリチウム(*2)を放出しました。TMAの雲状の発光及びリチウムの月光による散乱光が、地上観測点(内之浦、種子島)及び航空機から観測されました。
同時に、ロケットに搭載した観測機器により、電場、磁場、電子密度、電子密度擾乱(*3)の観測及び地磁気と月光を利用した姿勢決定を予定通り実施しました。更に、ロケットから送信されるビーコン電波を地上局で受信しました。これらの結果を用いて、今後、超高層大気領域の擾乱に関する詳細な解析が実施されます。
なお、光学カメラによるロケット追跡を、S-310-42号機は発射後37秒まで、S-520-27号機は発射後74秒まで行いました。また、高加速度で飛翔するロケットを小型GPS受信機によって測位及び再捕捉しました。本日の天候は晴れ、西の風1m/秒、気温28℃でした。
これをもちまして、2013年度第1次観測ロケット実験は終了しました。
関係各位のご協力に感謝いたします。
(*1)TMA(トリメチルアルミニウム):酸素に触れ燃焼し、自ら白色に発光する物質
(*2)リチウム:金属リチウム蒸気で、月光を散乱して赤色に発光する物質
(*3)電場は電界の強度、磁場は磁界の強度、電子密度は単位体積あたりの電子の個数を意味しており、擾乱(じょうらん)とは大気の密度や温度が安定状態から乱れ、局所的に高くまたは低くなっている状態を意味します。
2013年7月22日