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「SOIデバイスの研究開発」文部科学大臣表彰受賞

文部科学省から、「宇宙と民生に共通的に利用できる耐放射線性高集積回路」を開発した事を評して、廣瀬和之(宇宙研)、齋藤宏文(宇宙研)、黒田能克(三菱重工(株))、石井茂(三菱重工(株))の4名に対して、平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)が授与されました。4月17日文部科学省で開催された表彰式にて表彰状と楯を頂いて参りました。

放射線耐性のある宇宙用半導体集積回路は、輸出規制を受ける高価な海外品が多く、また処理速度や電力性能において最先端民生技術から遅れていました。一方民生分野では、地上に降り注ぐ放射線(中性子)による一時的な誤動作が、今後の集積回路の微細化に伴って大きな問題となると認識されてきました。

本開発は、放射線による誤動作に対する耐性が極めて高い集積回路を、処理速度、消費電力、チップ面積との最適化を図りつつトランジスターレベルと回路レベルで設計する手法、および国内の民生SOI半導体製造ラインを利用して、放射線耐性の高い基本回路をライブラリー化し、耐放射線性の集積回路を低価格で製造できる体制を実現したものです。本開発により、国産プロセッサを内蔵する世界最高水準の高性能宇宙用集積回路(システムオンチップ:SOI-SoC)を低価格で実現することができました。これはすでに大学の超小型衛星に搭載されており、今後もAstor-Hや小型科学衛星2号機に搭載されることが決定しています。

本成果は、我が国の宇宙産業の自在性を著しく高めるばかりでなく、民生用途としても低電力性と放射線耐性において最高水準に達していることから、自動車、建設機械、医療機器、原子力機器の発展に貢献することが期待されています。

工学戦略予算等を通じて、長年にわたり本研究開発を私たちに託していただきましたことを、関係各位に深く感謝いたします。

廣瀬和之、斉藤宏文(宇宙機応用工学研究系)

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2012年4月24日

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