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大気球実験B11-02 終了

2011年6月8日(水)5時04分に、エマルションハイブリッド望遠鏡による宇宙ガンマ線の観測を目的としたB11-02実験として、2011年度第一次気球実験の2号機を連携協力拠点 大樹航空宇宙実験場より放球しました。

この気球は満膨張体積100,000m3の大型気球で、およそ毎分300mの速度で上昇し、放球2時間後に大樹航空宇宙実験場東方約75kmの太平洋上において高度34.7kmで水平浮遊状態に入りました。

その後気球は約1時間30分の間、西方に飛翔し、8時50分に指令電波により観測器を気球から切り離しました。切り離した観測器は大樹航空宇宙実験場東方約25kmの海上にパラシュートで緩降下し、9時43分までに回収船によって回収されました。

本実験は、原子核乾板(エマルション)と呼ぶ特殊な写真乳剤を使用した観測器によって、宇宙から飛来するガンマ線をとらえることを目的としています。
ガンマ線はX線よりもさらにエネルギーの高い電磁波で、ガンマ線が発生する電子と陽電子の対がエマルション中を走ると、その経路に沿って飛跡を残します。その飛跡を顕微鏡で測定することで、もともとのガンマ線がどの天体の方向からやってきたのかを知ることができます。
同様の観測は半導体技術を用いた観測器を人工衛星に搭載してすでに行われていますが、デジカメ写真に対する銀塩写真のように、エマルション望遠鏡は、より細密な宇宙のガンマ線像をとらえる能力を持っています。

今回の観測では、プロトタイプ1号機によりガンマ線の到来方向を精密に決定することの実証を目的としました。実験実施後に損傷なく回収されたエマルションを今後現像し、個々のガンマ線事象の到来時刻を判別できる本実験特有のタイムスタンプ方式と、スターカメラによるエマルションの姿勢決定の妥当性を検証していく所存です。

放球時の地上気象状況は、天候:霧、無風、気温:摂氏10度でした。

これを持ちまして2011年度第一次気球実験を終了いたしました。

B11-02-1

2011年6月8日

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