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「はやぶさ」プロジェクトチームがフォン・ブラウン賞を受賞

5月20日、アラバマ州ハンツビルにて開催された、第30回国際宇宙開発会議(International Space Development Conferece)にて、「はやぶさ」プロジェクトチームが、ナショナル・スペース・ソサエティ(National Space Society) から、フォン・ブラウン賞(Von Braun Award)を受賞しました。
受賞理由は、「初の太陽周回天体表面への往復と試料の帰還」(FIRST ROUND TRIP TO AND SAMPLE RETURN TO EARTH FROM THE SURFACE OF AN OBJECT IN SOLAR ORBIT)に成功したことです。

フォン・ブラウン博士は、旧ドイツから米国にわたり、アポロ計画を実現させた人物としてよく知られています。1971年に来日し、わが国初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げてまもなくの、鹿児島宇宙空間観測所(内之浦)を訪れ、また糸川博士と対談を行った経緯があります。

栄えあるフォン・ブラウン賞を受賞したことは、わが国の宇宙開発、太陽系探査が米国、世界に認められた証拠でもありましょう。糸川博士は日本のフォン・ブラウンとも称されておられましたが、まさに糸川博士由来の私たち後進の活動の成果が、いわば本家によって、評価いただいたともいえます。

授賞式は、同会議の Gala(祝祭典)にて行われ、松尾先生、上杉先生とともに、Von Braun の Ferry Rocket と Saturn-V を象った賞をいただきました。
松尾先生は「はやぶさ」にいたる宇宙研の惑星探査の経緯を述べられ、また上杉先生は Von Braun博士と糸川博士の関連を貴重な写真とともに紹介されました。
賞の授与の際には、出席者が総立ちになり、Standing Ovation を受け、大変に感動しました。

2005年、「はやぶさ」が小惑星に着陸し、そして2回目の着陸後に通信が途絶し、帰還が危ぶまれる中、アメリカの NBC News の Space Analyst である、James Oberg 氏は、論評で

Somewhere beyond the far side of the Sun, a battered Japanese space probe is struggling to make its critical condition clear to controllers back on Earth so they can diagnose the latest problems, develop another set of "workaround" procedures and implement them by remote control. The project's goal, to return from a years-long interplanetary odyssey with samples from an asteroid, has been teetering on the edge of failure for most of the trip, but the Japanese control team has always been able to work something out before.
Even if that goal does slip through the team's fingers, however, the enormously innovative and resilient mission promises to deliver perhaps an even more important cargo back to Earth: a renewed interest in far-out high-risk imaginative space technology demonstrations.
.....
If Hayabusa's inspiration can encourage the expansion of this new program, it will have made an extremely important delivery back to Earth.

と書きました。その後、通信が復旧し、昨年2010年に「はやぶさ」は地球に帰還できたのですが、「はやぶさ」への評価は、まさにこの論評に象徴されていることだと思います。
かりに帰還が果たせなくても、地球に持ち帰られるものがある。それは、(世論の)宇宙への関心が、独創的な大いなる宇宙技術への挑戦へと一新されたこと、と述べているのです。挑戦することこそを評価していただいたと思います。

今、日本は、未曾有の大震災に見舞われ、なお多くの方々が苦難を強いられています。「はやぶさ」プロジェクトは、多くの困難に対したとき、帰還へのこだわり(意地)と、あきらめない心(忍耐)で切り抜けてきました。「はやぶさ」が、震災からの復興を目指す方々には伝えるべきメッセージは、この忍耐であるかもと一時期考えていました。しかし、それは違っていたかもしれません。忍耐を求めることよりも、我々日本、日本人は出来るのだという力、ポテンシャルへの自信と、復興に挑戦する勇気を持っていただくことこそが、「はやぶさ」プロジェクトからの何よりもの励ましとなるものと思います。

今回、フォン・ブラウン賞を受賞したこと、それは、宇宙という狭い世界だけのことではなく、世界が認めた日本の実力を、日本人である我々が発揮し、自信をもって更なる高いレベルの復興をめざして、勇気をもって取り組め、と示唆しているものと思います。

がんばりましょう。日本。

「はやぶさ」プロジェクトマネージャ 川口 淳一郎

左から、上杉邦憲、John Strickland、上森規光、川口淳一郎、John Mankins(NSS)、松尾弘毅 各氏

2011年5月23日

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