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大気圏突入6分前の「はやぶさ」が見える国:モルディブ

小惑星探査機「はやぶさ」は、2010年6月13日22時51分(日本時間)頃に大気圏に突入して燃え尽きてしまいます。その直前の「はやぶさ」は、こちらで説明していますように、条件が悪いために望遠鏡で観測するのは難しい状況です。
また、この「はやぶさ」最後の日に、日本上空を「はやぶさ」が通過していきますが、やはり「はやぶさ」を目で確認するのは難しいと思います(説明はこちら)。

それで、大気圏突入直前の「はやぶさ」が見える国を探してみましたところ、インド洋のモルディブ共和国から最後の「はやぶさ」を見ることができることが分かりました。

図1 モルディブ共和国の位置と「はやぶさ」の経路を地上に投影した図[画像クリックで拡大]
時刻は大気圏突入(リエントリ−)の何分前かを示す。また、そのときの地表からの距離も示す。

図1に、「はやぶさ」の経路を地上に投影した図とモルディブ共和国の位置を示します。モルディブ共和国はちょうど「はやぶさ」の経路の真下にあり、「はやぶさ」が南東の方向に飛び去って行くのが見えることになります。

大気圏突入前の「はやぶさ」が望遠鏡で観測しにくい理由は、地球から「はやぶさ」を見ると太陽電池のパネルの裏側が見えてしまうためです。太陽電池の裏側には太陽光は当たっていませんから、「はやぶさ」を明るく見ることができないのです。ところが、モルディブから大気圏突入直前の「はやぶさ」を見た場合、太陽電池のパネルに太陽光が当たっている面を見ることができます。ちょうど、日没直後の南東の方向に「はやぶさ」が見えることになります。モルディブから見た「はやぶさ」の位置を図2、図3に示します。

モルディブの北部(図2)と南部(図3)から見た「はやぶさ」の経路。黒色で書いた時刻は世界時(日本時間から9時間を引いたもの)で赤色の時刻がモルディブ時間。

モルディブの日没の時間が現地時間で18時10分から20分くらいですから、その直後に南東の方向を見ていると、「はやぶさ」が真上の方向から真下の方向に移動していくのが見えるはずです。ただし、肉眼で確認するのはやはり難しいかと思います。双眼鏡や望遠鏡を使う必要があるでしょう。なお、「はやぶさ」は大気圏突入の約6分前に地球の影に入ってしまいます。つまり、モルディブ時間の18:45分くらいに見えなくなることになります。

もし、モルディブにいる人をご存じでしたら、是非、連絡をしていただいて、本当に最後となる「はやぶさ」の確認を試みていただければと思います。

2010年6月13日

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