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特集

はじめに

齋藤 潤 東海大学工学部 研究員・AMICAチームリーダー

 「はやぶさ」には、望遠光学航法カメラ(ONC-T:Optical Navigation Camera)1台と広角光学航法カメラ(ONC-W1、W2)2台、合計3台の高分解能カメラが搭載されています。これらのカメラは探査機の眼として、「はやぶさ」を小惑星イトカワに導くための航法用に使われます。ONC-Tは航法誘導だけではなく、理学観測のためにも使われました。そのため、マルチバンド分光カメラ(AMICA:Asteroid Multi-band Imaging Camera)という別の名前が付いています。
  今回、「はやぶさ」の画像とそこから得られた成果に関して特集させていただくことになり、「はやぶさ」AMICAチームで科学論文を執筆された方々を中心に解説をお願いしました。このような形で皆さまにカメラ観測の成果をご報告できることは、AMICAチームリーダーとして大変喜ばしいことだと思っております。
  AMICAには7バンドの色フィルタと偏光子が搭載され、わずかな色の違いを判別することができます。「はやぶさ」ミッションでは、AMICAを用いて小惑星イトカワをまんべんなく観測しました。その結果、その特異な形状や地形のバリエーション、そして色と明るさのバリエーションなど、小惑星の科学において多くの新しい知見を得ることができました。これは世界の惑星科学の歴史においても大きなエポックメーキングな出来事だと考えております。
  今回の特集で紹介されるこれら一つ一つの知見が、「はやぶさ」の搭載カメラがもたらした大きな発見なのです。特集の最後には、チームメンバーの佐々木 晶さんから、今後の小惑星科学の展開についてご寄稿いただきました。今回の特集で、AMICAの成し遂げた“仕事”やその意義について、読者の皆さまに少しでもご理解いただき、興味を抱いていただければ大変光栄なことだと考えております。
  それではAMICAの成果をお楽しみください。

(さいとう・じゅん)