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特集

空気吸込み式エンジンFTBシステムの提案

 20年後の宇宙はもっと身近になっているはず……。宇宙への旅行手段をイメージすると,飛行機のように運航されているロケット旅客機が浮かんできませんか?

 私たちはその夢を実現するため,ロケットエンジンとジェットエンジンの機能を組み合わせた革新的なロケット複合サイクルエンジン(RBCCエンジン)が必要であると考えています。RBCCエンジンは,宇宙ではロケットになりますが,大気圏内では飛行機のジェットエンジンのように空気を吸い込んで燃焼に使うため,積んでいく酸素を減らして荷物を増やすことができます。性能の観点から,環境に優しい液体酸素と液体水素を推進剤とすることも重要な特徴です。

 大気圏内では,普通のジェットエンジンと違って常に加速し続けなければならないため,その開発には音速の6倍(マッハ6)を超える超高速飛行実験が不可欠です。そこで私たちは,RBCCエンジンを開発するための実験装置として,試作エンジンを載せた機体をマッハ6程度まで連続的に加速できる飛行実験機(FTB)を開発することにしました。図が2段式のFTB機体案です。RBCCエンジンの試作品は,第2段の水平尾翼に取り付けられて性能を試されます。FTBの加速に使うメインエンジンは,毒性がなく取り扱いやすい亜酸化窒素(N
2O,笑気ガス)とエタノールを推進剤とする新しい液体ロケットです。FTB開発の第一段階は第2段のみの飛行実験で,2年後の初フライトを目指します。


図
図 FTB機体案


(徳留真一郎,羽生宏人,川口淳一郎[ISAS/JAXA],
大塚浩仁[IHIエアロスペース],山本高行[東大院])
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