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特集

太陽系小天体インターセプタ計画

 太陽系の小天体は,軌道が確定しているものだけでも30数万個存在します。太陽系の起源や進化を知るためには,代表的な小天体にランデブーして,重点的に調査することが必要です。一方で,まだ探査機による小天体観測例がほとんどない現状では,フライバイして小天体を撮像するだけでも非常に意義があります。フライバイするには,カメラで小天体をとらえ航法誘導を行う必要があり,相対速度は秒速5km程度にもなるため,高度な制御技術を要します。

 私たちはフライバイ探査機として,わずか10kgの「インターセプタ」を開発しています(図)。インターセプタは,小天体の十分近傍をインターセプト(通過)し,詳細画像を取得するだけではありません。カメラに取り付けた可視多色フィルターで測光観測を行い,小天体のスペクトル型を同定します。また,最接近前後のインターセプタの軌道変化を計測し,小天体の密度を推定します。これらによって,小天体の地形・地質を明らかにできます。複数のインターセプタを運搬専用機に搭載し,地球スイングバイ直前にそれぞれを別方向に切り離し,各目標小天体軌道に投入すれば,一度に多数のフライバイを実現できます。一方で,ピギーバックとして相乗りや,探査機に小天体付近まで運搬してもらうなどのミッション形態も可能です。



図
図 インターセプタの想像図


 インターセプタは,小型・軽量・安価ゆえに打上げ機会が得やすく,多数の観測を行うことで,従来とは質の異なったサイエンスを目指します。


(森 治[ISAS/JAXA]ほか,インターセプタ検討グループ)
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