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特集

宇宙科学ミッションの新しい出発

 2005年1月6日〜7日に宇宙科学シンポジウムが開かれました。このシンポジウムは,「理学,工学の研究者が一体となってこれからの夢を語り合う」という趣旨で2001年に始まり,今年で5回目となりました。将来のミッションの具体的選定にかかわる白熱した議論を分野を越えて戦わせることのできる,宇宙研で最も重要なシンポジウムとなっています。今年も2日間にわたり,「NeXT」,「VSOP-2」,「ソーラーセイル」など提案中のミッションの議論を中心に,「SPICA」,「月惑星表面探査技術」,「SCOPE」,「JASMINE」,「次期小天体探査」,「JTPF」,「次期月探査計画検討」の10ワーキンググループ(WG)からの活動報告と,小型ミッションを中心にして10件の将来計画の講演がありました。

 一昨年の宇宙関係3機関の統合により,宇宙研はJAXAの宇宙科学研究本部として新しく生まれ変わり,JAXA全体のビジョンの中での宇宙科学の位置付けと,社会への新たな貢献が求められています。ちょうど今作成中のJAXAの「長期ビジョン」の議論に参加している方々の報告を中心とした企画セッション「JAXAの長期ビジョンと宇宙科学」を1日目に開催しました。日本の宇宙開発が逆境にある中で,20〜30年先の将来まで見通した非常に迫力のある意見交換がなされました。2日目には,JAXAの本部間での技術交流の展望を議論するセッション「宇宙科学を支えるテクノロジー」が開催されました。ここでレビューされたJAXAが培ってきたテクノロジーについては,この特集号でも多くの方に執筆をお願いしています。

 研究管理棟2階の大会議場は,机を運び出していす席にし,大人数を収容できるよう準備したにもかかわらず,2日間とも満杯となる盛況でした。この特集号の記事では,発表の内容を分かりやすく伝えたいと思っているのですが,同時に,研究者の持つ熱気の片鱗を行間に感じ取っていただければと思います。166件のポスターを含め215件の講演を収めた後刷集も後日発行されます。分厚いものですが,手に取っていただく機会があれば,努力いただいた世話人(橋本,今村,川勝)諸氏の苦労も報われるはずです。


(シンポジウム代表世話人 前澤 洌)
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